アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:岐阜大学教育学部附属中学校
教科等:3年技術・家庭科(平成29年6月)
題材名:「D 情報に関する技術」プログラムによる計測・制御
生活を取り巻く課題に対して、習得した知識・技能を基にして最適解を導き、実践できる力を育成したい
見通しを持つ
思考を表現に置き換える
新たなものを創り上げる
実践の背景
- 実践校は、創設以来「人間教育」を教育理念とし、理想の全人格教育を目指して、多様な子どもの関わりの中で育てています。
- 学校教育目標を「独歩・信愛・協働」とし、「夢や願いの実現を目指してひたむきに全力を尽くす、仲間への思いやり・心づかいを行動で示す、仲間と共に高まろうとする」を、願う生徒の姿として描いています。
- 学校教育目標等を踏まえ、研究主題を「新しい時代を生き抜く生徒」とし、汎用的な能力を育成するために指導・評価・改善が一体となったカリキュラムを設計しています。
授業改善のアプローチ
- 習得した知識・技能を、活用・発揮できる題材計画
- 実生活と関わらせながら、比較・検討のできる教材や学習課題の設定
- 最適解を求めて多くの情報を出し合うことのできるグループ構成
- 課題解決に向けて、思考を可視化する工夫
題材づくりのポイント
目標
- 生活の中から課題を発見し、計測・制御システムを使って解決しようと考えている。
【関心・意欲・態度】 - 目的や条件に合うプログラムを、フローチャートで示しながら、情報処理の手順を変更した場合の効果を社会的、環境的、経済的側面などから比較・検討した上で、計測・制御に適した情報処理の手順を決定している。
【工夫し創造する能力】 - フローチャートで設計した内容に従って、計測・制御のプログラムを作成している。
【生活の技能】 - センサで得たアナログ信号をデジタル信号に変換するためには、インターフェースによって信号を切り替える必要のあることを知り、情報処理の手順を理解している。
【知識・理解】
展開(全8時間)
- 第1時
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生活場面を想起しながら、プログラムを作成しようとし、学習の見通しを立てることができる。
- 第2時
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自動的に仕事を行っている身近な製品の情報の流れを確認することを通して、コンピュータを利用した計測・制御システムについて理解することができる。
- 第3時
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センサから受け取った情報を処理するまでの流れを考えることを通して、計測・制御システムではインターフェースが必要であることが分かる。
- 第4時
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プログラムを組み、アクチュエータを利用して制御することを通して、情報処理をするための手順を理解することができる。
- 第5時
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センサの値に応じて、イラストを動かすプログラムを作成することができる。/p>
- 第6時
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誰かが来たことを知らせるプログラムが、どんなところで使えるかを考えることを通して、生活の中で活用する方法を考えることができる。
- 第7時
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「誰かが来たら児童で教えてくれるシステム」のプログラムを作成・改善することを通して、効果を比較・検討した上で計測・制御に適した情報処理の手順を決定することができる。(本時)
- 第8時
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生活の中の課題を考え、計測・制御システムを使って解決できるか考えることができる。
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
「誰かが来たら自動で教えてくれるシステム」のプログラムを作成・改善することを通して、効果を比較・検討した上で計測・制御に適した情報処理の手順を決定することができる。
授業場面より
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①解決への見通しを持つ
「私たちのグループでは、圧力センサを用いて、ドアを自動で開閉する仕組みをつくり、子育ての家庭が安全な生活を送ることを考えています。そのためには、まずフローチャートを使って・・・。」
学習課題に対して、願いを持ち、具体的な手順を明らかにします。その上で、グループでプログラミングを行います。そのことは、グループで粘り強く取り組む支えの一つとなります。 -
②フローチャートで表して、プログラミングの手順を整理する
「圧力センサが反応したらドアを開ける。」「何秒間か開いているように設定すればいい。」「5秒にしよう。」「モーターを逆向きに回してドアを閉じる。」
前時までに学んだことを生かして、プログラミングの手順を視覚的に整理しながら、グループでコンピュータに入力する情報を、筋道や順序の良さを考えていきました。
このように、スムーズにプログラムを作成する助けとなり、修正しながら問題解決に向かっていきます。 -
③センサを入れ替えて、比較・検討する
「やっぱり、圧力センサより距離センサの方がいい。」「圧力センサはピンポイントでしか反応しないので、たくさん必要になるからコストがかさんでしまう。」
プログラミングソフトとつなげられている基板にセンサを取り替えて確かめつつ、経済的な視点からも比較・検討を重ね、最適解を導き出そうとしています。 -
④対話を通して、試行錯誤を繰り返す
「距離センサを上の方に取り付けて、この数値よりも高い人が来た時だけ通れるようにすればいい。」「肩の高さに距離センサを設置すれば、大人だけに反応するから、いちいち距離を決めて入力しなくて済む」
『安全な生活を創り出したい』という願いを実現するために、具体的な生活の場面を想定しながら、3人で知恵を出し合います。
報告者:研修協力員 各務