アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:安曇野市立三郷小学校
教科等:6年算数科(平成27年10月)
単元名:変わり方を調べて

子供自身がじっくり考える学びを生み出すために

  • 見通しを持つ
  • 互いの考えを比較する
  • 思考して問い続ける

実践の背景

  • 学校教育目標「自ら学ぶ子ども 心豊かな子ども 明るくたくましい子ども」を掲げる県下有数の大規模校です。
  • 本年度は一人一人の児童に確かな学力を育むため、「主体的・協働的な学び合い」を進めています。
  • 学習指導案を作成する際には「私の授業改善の課題」を明記することが決められており、授業者が自分自身の課題を明確にしながら授業改善に取り組めるように工夫されています。

授業改善のアプローチ

本校算数科では、高学年の課題に応じて習熟度別・少人数指導を取り入れることで、児童一人一人に対してきめの細かい学習が実現されるようにしています。習熟の早いグループに対する発展的指導、習熟の遅いグループに対する少人数指導を積み重ねた結果、期待した効果が現れています。そこで授業者は、学級の枠をこえた習熟度別・少人数指導であっても、異なるクラスの子供たちが仲間と対話しながら考えを広げ深めていく姿を実現しようと授業改善を重ねました。

  1. ダイジェストムービーを活用したペア研修
    • 事前に録画した同僚の授業を編集したダイジェストムービーを使い、教師のどのような関わりによって児童の思考が深まっていくのかを分析的に協議するペア研修を行いました。
    • 画面では「発問を投げかけた教師が、しばらく間を取る場面」が映し出されました。児童が口々に問いや気付きをつぶやいたり交わし合ったりして、新たな問いへとつなげていく姿です。
    • 研修では本場面について意見交換がありました。授業者は「私は発問を急ぐことがある」と日頃の指導を振り返り、「発問を精選したりつぶやきが生まれるような間を取ったりすることで、子供自身がじっくりと考え思考が深まるようにしたい」と改善の方向性を見いだしました。
  2. タブレット型PCの効果的な活用
    • 教師用のタブレット型PCの効果的な活用を研究しました。ノートに書かれた児童の考えをタブレット型PCのカメラで撮影し大型テレビへ映し出す方法は、発表する児童の考えが瞬時に可視化され聞き手の理解が促されます。一方、児童が黒板へ出てきて考えを書くことは思考のプロセスが可視化されるという長所があります。それぞれの長所と短所を探りつつ、ICT活用の適否を判断するよい機会となりました。

単元づくりのポイント

目標

2つの量の関係を表にかき、変わり方のきまりをみつけて、問題を解決することができる。

  • 2人が何分後に出会ったり追いついたりするかについて考えようとする。
  • 2人の間の距離や速さを考えて、変わり方のきまりをみつけることができる。
  • 2人が何分後に出会ったり追いついたりするかを表にかいて求めることができる。
  • 表を使ったきまりのみつけ方について理解している。

展開

2つの量の関係を表にかき、変わり方のきまりをみつけて、問題を解決する。

  • 出会い算(1)本時 
  • 追いつき算(1)

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

  • 比例と反比例の学習を終えた子供たちが、ともなって変化する2つの数量の変わり方に目をつけ、変化の様子を表にかくことを通して、数量の和に着目して変化のきまりをみつけ、問題を解くことができる。

授業場面より

  • ①どうやって考えればいいのかな?

     どうやって考えればいいのかな?画像

    児童が学習問題を把握し、解決に向けた見通しを持つ場面です。児童との対話によって、問題解決に向けて自信がなさそうな様子をつかんだ教師は問題場面を再現します(A)。十分に間を取りながら児童の思考に寄り添おうとする支援でした。「1分後、はるかさんは何m進んだ?」「70m」、「お母さんは?」「80m」。児童は教師との対話によって問題場面の把握を進め、「2人が出会う時間を求めればよい」という結果の見通しを持ちました。Bは追究の見通しを持つ場面です。児童は既習事項と結び付け、「時間と道のりが変化する様子を考えるから『表』を使えばよさそうだ」と語りました。

  • ②変わり方のきまりを見付けよう!

    変わり方のきまりを見付けよう!。画像

    教師は表を黒板に貼り、児童と項目を考えました。項目を考えることを通して、「合わせて1200mになると2人が出会う」「表をかいて変化を考える」という解決の見通しを持った児童は、個人追究を始めました。Dのように表に数字を記入する姿、Eのように表を見ながらきまりを見いだそうとする姿などが見られました。これらの主体的な姿の背景には、児童が結果の見通しと方法の見通しを持ったことが考えられます。またイラストや表など理解を促す資料を多様に準備したことも児童が主体的に取り組む姿を実現しました。この場面で教師は記述状況から一人一人の考え方をとらえつつ、個別支援が必要な児童を見極め、対応しました。

  • ③みんなはどうやって考えたのかな?

    みんなはどうやって考えたのかな?。画像

    互いの考えを伝え合い、比較・検討する場面です。教師は仲間と説明し合うように促しました。「1分増えるごとに、はるかさんは70mずつ、お母さんは80mずつ増える」「2人の進む道のりを合わせた道のりは150mずつ増えていく」、児童はともなって変化する2つの数量の変わり方に気付き、数量の和に着目して変化のきまりを見つけることができました。異なるクラスの児童が対話を通して考え合い、理解を深めた姿です。教師はグループの対話に耳を傾け、あいまいな点を問い返したり考えのよさを認めたりしつつ、タブレット型PCで児童のノートを撮影し提示しました。全体追究では「表を使わずに式を利用しても解決できる」という新しい考えを発表する児童にも発言を促しました(H)。

  • ④表を使わなくてもできるんだ!

     表を使わなくてもできるんだ!。画像

    本時の学習内容をまとめた後、適用問題への挑戦を促す場面です。教師は「計算でも結果が得られるよさ」に気付いた児童の様子をとらえ、Iのように伝えます。授業時間が残り少ないことを確認した児童の多くは、表を使わずに考えました。教師は「わかる喜び」を味わわせるとともに本時の考え方が適用できたかを見とどけるため、計算が容易になるように問題を作成していました。どの児童も黙々と計算に取り組みます(J)。教師は早く正解した児童の8人を「ミニ先生」として指名しました。ミニ先生は仲間のノートに丸を付けたり質問に答えたりしています。この場面で、教師は個別支援した児童の取組を確かめました。ねらいの達成を最後まで見とどけようとする支援です。

報告者:研修協力員  谷内