アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:彦根市立金城小学校
教科等:特別支援(知的障害)
各教科等を合わせて行う指導(生活単元学習)(平成29年10月)
単元名:どきどき・わくわくゲーム広場
友達と協力しながら活動することを通して、最後までやりぬく力と自己有能感を育成したい
興味や関心を高める
協働して課題解決する
思考して問い続ける
実践の背景
- 学校教育目標「郷土を愛し世界と未来に目を向け心豊かにたくましく生きる子どもの育成」に向け、目指す子供の姿を「3つの力(気力:やりぬく力、学力:考える力、体力:きたえる力)と3つの心(自立心・共生心・公共心)」と整理し、その実現に全教員で取り組んでいます。
- 今年度は、「批判的思考力の育成」を重点課題とし、それにつながる段階として、低学年では「根拠を基に説明する力」、中学年では「比較、関連づける力」の育成を目指すことと整理し、実践を積んでいます。また、特別支援学級では、学びに向かう力の素地となる自己肯定感、自己有能感の育成を大切にしてきました。
- 教員が、他の学年の学ぶ内容や学び方を知ったうえで授業を構想できるようになることが、6年間を通じた資質・能力の育成に必要であると考え、担当学年等を縦割りにした研究グループを組んで、指導案検討会や授業協議会等を行っています。
授業改善のアプローチ
- ゲーム広場を開くことを単元のゴールとしました。各自の実態に合わせて準備するゲームを選べること、全員で分担・協力して看板や招待状、場の設定など全体の準備に取り組むことができることが、ゴール設定の理由です。
- 単元導入時には、教師が楽しいゲームを用意し共に楽しく遊ぶ経験をすることで、自分たちでもゲーム広場を開いて友達と楽しく遊ぼう、という意欲を高めました。
- 見通しを持って活動に取り組むため、単元の計画や話し合ったことや決まったことなどをグループごとに移動式ホワイトボードに掲示しました。
- 相談したり協力したりしながら、自分たちで活動を進める力をつけるため、ペアでの活動を取り入れました。
- 交流学級での学習と無理なく両立させるため、ペアは同学年で組むことを原則としました。児童の実態よって、一人で活動に取り組むことも認めました。
- お互いのよさを見つけて伝え合い、短冊にして掲示することで、自己肯定感を高めることにつなげたいと考えました。短冊の記入は、児童の実態によって教師が適切な支援を行うよう、心がけました。
単元づくりのポイント
目標
- ゲームを作ったり遊んだりすることを通して、お互いのよさを認め合うことができる。
- 最後まで課題をやり遂げることができる。
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各教科での既習事項を生かし、例えば以下のような力の獲得を目指す。
(国語科)知らせたいことを整理し、話して伝える。既習の文字(平仮名、片仮名、漢字)を適切に
書く。
(算数科)ものの数を数える。順番を数える。たし算で計算する。長さや大きさを比べる。
展開
- どきどき・わくわくゲーム広場 全15時間
①ゲームの説明を聞き、仲良く輪投げゲームを楽しむ
②仲良く的当てゲームを楽しみ、どきどき・わくわくゲーム広場を開く見通しを持つ
③学年ごとにペアを作り、どんなゲームを作るか考える
④材料や道具の中から、必要なものを選んだり集めたりして、ゲームを作る
⑤~⑧友達と協力してゲームを作る
⑨自分の作ったゲームを紹介し合い、友達と楽しく遊ぶ
⑩自分の作ったゲームをの良いところや直した方がよい所に気づく(本時)
⑪自分たちのゲームをより楽しくするために工夫する
⑫~⑭ゲーム広場を開くための準備をする
⑮友達を招待して、ゲーム広場を開く
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
・自分のゲームを紹介することができる。
・自分のゲームについて良いところや直すところについて振り返ることができる。
授業場面より
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①本時のめあてを知り、学習の見通しを持つ
授業者と6人の児童が椅子を車座に寄せ合い、和やかに授業が始まりました。前時の学習の振り返りでは、児童は、学級の仲間に遊びを紹介して一緒に遊んだことや、そこでは大きな声でゲームの紹介をしたこと、紹介の仕方や遊びの面白さによって星をつけて相互評価をしたことなどを発表しました。発表の時には、言葉に詰まったり声が小さくなったりしましたが、授業者がゆったりと待ったり傾聴の姿勢を示したりしたことで、お互いに聞き合ったり、手を握って励ましたりする姿が見られました。
本時は「先生(参観者)にゲームを紹介して☆(星)をもらおう」をめあてに学習を進めることが共有されました。児童は、自分が大好きな先生たちに説明するという活動を聞いて、「緊張する~。」と言いながらも、にこにこの笑顔です。見通しと期待を持ち、学習に臨む姿だと捉えられます。 -
②参観者にゲームの説明をし、実際にゲームをしてもらう
児童は、ペアで一つのゲームを考え、準備してきました。ここでも、二人で声を合わせて、自分たちが準備したゲームの説明をします。しかし、その内容は十分なものではありません。児童は、説明を受けた参観者から、「どこから投げるの?」「何回投げていいの?」「点数はどうやって決めるの?」など、様々な質問を受けます。その度に二人で相談しながら新たにルールを考え、参観者に説明をしていきます。また、「どうしたらうまくできる?」という質問を受け、「下からそっと投げる。」など、自分たちが実際にゲームをしたときにつかんだコツを伝える姿もありました。参観者からの質問をきっかけに、試行錯誤を繰り返し、友達と相談しながらゲームをより良いものにしようとする姿、楽しさを参観者と共有しようとする姿です。
授業者は、困っている児童に寄り添い、説明のきっかけとなる言葉を耳元でささやく、付け足して説明しようとしている児童の姿を捉えて認めるというように、児童の姿を細やかに観察し、適切な支援を行っていました。 -
③他の参観者に、工夫して説明をする
入れ替わり立ち替わりやってくる参観者に対し、児童は繰り返し何度もゲームの紹介をします。始めの頃と比べると、声が大きくなる、自然な笑顔になる、参観者が高得点を取ると拍手して喜ぶ等、自信をもって活動に取り組んでいる姿がありました。
さらに、これまでに受けた質問に対して答えた内容も付け足しながら説明したり、曖昧だった得点のルールが明確になったりと、その紹介の仕方やルールも、よりよいものに変わっていきました。これは、繰り返し何度もゲームを紹介する機会があり、児童がその中でよりよい紹介、より楽しいルールにしようと試行錯誤することができたことにより導かれた姿だと考えます。 -
④本時の学習を振り返る
振り返りの場面です。参観者が、紹介の仕方とゲームの楽しさという視点で評価し、星の数で表します(星3つが最高)。それを児童の前で発表し、評価(星の数)の理由を説明しました。星2.5個の評価をした参観者からは、紹介の声の大きさ、わかりやすさ、ゲームの面白さといった良さだけでなく、どこに入れれば何点かわからなかった、ということが伝えられました。他のゲームについても、順にコメントが伝えられました。
最後に授業者は、「次は、どんなことに気を付けてゲーム広場の準備をしますか。」と投げかけました。児童からは、「ボールの入る場所に点数を書く」など、次時の活動に向けて見通しを持った発言がありました。参観者からコメントをもらう場を設定したことにより、このような児童の姿が導びかれたと考えられます。
報告者:研修協力員 平中