NITSインタビュー ~学びのスパイス~

第3回 NITSで働く人たち
―全国の教育委員会からの人事交流者 part1[後編]

独立行政法人教職員支援機構(以下、NITS)では、役職員や教育関係者へのインタビューを通して、教育に関わる知見を広く提供するとともに、より多くの教職員や教職員を目指すみなさんに、NITSについて知り、関心を持っていただくことで、日々のちょっとしたスパイスになればとの想いから、「NITSインタビュー ~学びのスパイス~」を行っています。

最近、日本全国でイベントを開催していて、「どうしたらNITSで働けますか?」「NITSってどんな組織なんですか?」というご質問をいただく機会が増えてきました。そこで第3回は、NITSはどんな人が働いているどんな組織なのかをご紹介すべく、「NITSで働く人たち」と題し、NITSで研修づくりの中核を担う全国の教育委員会からの人事交流者の方々5人にお話を聞きました。Part1の今回は3人の座談会形式で、前・後編の2回に分けてお届けします。今回はその後編です。

今回のインタビュー対象

  • 佐藤 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    連携推進課

  • 華井 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    研修マネジメント室

  • 宮久保 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    連携推進課

――NITSに来て、新しく身についたものってあったりしますか?

宮久保

僕はNITSに来て、「学びの主体は学び手にある」という考え方を取り戻すことができたように思います。じゃあ自分はそれにどう関われるか、今はそこを考えています。

元々そうした考えを持っていたのですが、学校現場にいた時は、どうしても子供たちを教師が考える枠にはめてしまっていたところがありました。また、教職員研修に携わるようになってからは、「先生が困っているからこうしなきゃ」と目の前のことしか見れていなかったように思います。NITSに来て感覚を取り戻せたのは、実践記録を書くことで、自分との対話の時間をしっかり取ることができたからだと思っています。

佐藤

僕はNITSに来て、参加者も、職員も、こんなにも多様なバックグラウンドを持つ人がいるんだなと思いました。だからこそ、「この人ならどう思うだろう」「あの人は何て言うかな」と様々な視点から考える癖がつきましたね。

あとは、全国各地へ出張する中で、新幹線と飛行機の予約がスムーズにできるようになりました(笑)。

華井

僕自身、物事を斜めに見る傾向があります。みんなが「こうだよね」と思っていることに対して、あえて違う視点から見たくなるんです。NITSに来て、それをいい方向に導いてくれる人が多いと感じます。斜めから見て終わりではなく、その後に軌道修正をしていくことができるようになりました。異なる意見の重なりに目を向けられるようになって、お互いの意見を踏まえて研修設計ができるようになりましたね。

佐藤

研修デザインなど、自分一人で徹夜してつくったものより、NITSのチームで30分ほど協議してつくったものの方がとてもよいものができるという実感があります。「学び合いってこういうことなんだな」と。なぜそれがNITSだとできるのかというと、それは大前提として、立場や年齢関係無く、お互いにリスペクトし合っているからではないかと思います。全国の教育委員会から来た、似たような境遇の人が集まっているというのもあるかもしれません。

華井

NITSでは、言ってはいけないことと言わなきゃいけないことがあまりないというか。自分の思いを語っていいという雰囲気があります。

佐藤

あとは、分からない自分でいいんだということですかね。自分がつくるよりチームでつくった方がいいものができると分かっているから、「自分は分からないからみんなでつくりませんか」と言えて、結果的にお互いを高め合っている感覚があります。

華井

NITSマネプロ(NITS研修マネジメント力協働開発プログラム:「新たな教職員研修」の協働開発に向けて、職員が対話・協働しながら探究を行う対話を中心とした活動の場)の存在がやはり大きいと思います。みんなで考え、語り合う場をNITS全体で大事にしている気がします。最初は面食らったけど(笑)。

NITSマネプロで発表する華井専門職員

――「NITSで働くこと」を一言で表すと?

佐藤

「学」

来る前は、こんなに学び続けられる場所だとは思っていませんでした。これまで「大人の学び」についてここまで真剣に考えたことはなかったです。大人の学びを考えることが子供の学びを考えることにつながるんだなということを実感できましたね。あとは県内にとどまらない、全国的な様子を知れたのもNITSならではでよかったです。

華井

「楽」

「楽しい」以外に思いつきません。考えることも楽しいし、出張で全国を回れることも楽しいし、昼休みに体育館でサッカーができることも楽しい(笑)。NITSに来るまでは、大人の学びにしろ自己研鑽にしろ、そうした時間の余裕がない現場にいたこともあって、NITSでは自分のことや自分の自治体のことを考えるいい時間を過ごせています。「じっくり考えていいよ」と言ってもらえるのが贅沢だし有り難いですね。

宮久保

「疑」

自分はNITSで楽しいと思ったことは一度もないです(笑)。でも、「学ぶ」とはどういうことかを、こんなにずっと考えさせてくれる場所は他にはないかと。一つの研修に対して、みんなでああだこうだ語り合いながらつくり上げていくのは、これまでにない経験です。「なぜ自分はこう考えているのか」が分かるようになると、視界が開けていくというか。これまでの自分、今の自分を疑うことができる場所だと思っています。

――NITSでの経験を、今後どのように活かしていきたいですか?

宮久保

地元に戻ったら、まずは同じ職場の人たちが子供の学び、大人の学びについてどのようなことを考えているのか、を知ろうとすることから始めようと思っています。NITSマネプロのように、職員それぞれが考えを出し合える、学びの場をつくっていくことが自分の役割だと認識しています。研修に参加する人のみならず、研修を考える側も満足できなければ、よいものにならないと思っているので。研修をつくる側は黒子ではありますが、黒子は黒子で自分たちが主語になれる場所をまずつくっていくことが大事だと思っています。

華井

NITSで行う研修を他の自治体でもできるかというと、難しい部分もあるかと思います。研究指定校だからできる授業とそうではない学校でつくっていく授業があるように。だからこそ、NITSで培った思考を大切にして、今後も新たなチームと考え続け、新たな場所でできる最大限のことを取り組んでいきたいと思います。

佐藤

自分は「まずやってみる」ということも大事だと思っています。例えばアクティブ・ラーニングというものが出てきた時に、自分の周りでは賛成派と反対派が分かれました。その中で、まずやってみることで見えたものが大きかった経験があります。先が見えないものについて、想像することを放棄してしまっている場合も多いと思います。一旦想像して、やってみて、失敗して、修正していくことが大事なのではないかと思います。授業と違って研修は一期一会なので、プレッシャーは大きいですが。

――本日は、ありがとうございました。