NITSニュース第179号 令和3年10月29日

学校給食を活用した食育の推進

文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 学校給食調査官 齊藤るみ

学校給食は、年間、小学校191回、中学校186回(平成30年度学校給食実施状況等調査)実施されており、毎日の給食の時間に、計画的、継続的な指導を行うことで多くの指導機会を得ることができます。 また、給食の時間は、準備、会食、片付けなどの一連の指導を、実際の活動を通して繰り返し行うことができ、児童生徒は、体験を通して学ぶことができます。 学校給食を活用して食育を推進するためには、学校給食の特徴を理解し、食に関する指導の全体計画に位置付けて、学校全体で組織的に取り組むことが必要です。

給食の時間に行われる指導は、「給食指導」と「食に関する指導」に分けることができます。

「給食指導」は、給食の準備から片付けまでの一連の指導の中で、正しい手洗い、配膳方法、食器の並べ方、箸の使い方、食事のマナーなどを体得させる場面です。 日々の指導は、学級担任が行いますが、運営や指導方法については栄養教諭が関わり、学校全体で統一した取組を行うことが必要です。 給食の時間の児童生徒の活動や指導方法については、市区町村や学校でマニュアルなどを作成し、学校全体で系統立てた指導ができるようにすることも大切です。

「食に関する指導」は、学校給食の献立を通じて、食品の産地や栄養的な特徴を学習させたり、教科等で取り上げられた食品や学習内容を確認したりするなど、献立を教材として用いた指導を行う場面です。 この指導は、栄養教諭による直接的な指導や資料提供を行う等、栄養教諭が関わって進めることが大切です。 献立を教材とした指導では、給食に使用している食品を活用して、食料の生産、流通、消費について理解させたり、献立を活用して食品の種類や特徴、栄養のバランスのとれた食事などを知らせたりすることができます。 ほかにも、季節や地域の行事にちなんだ行事食を提供することにより、食事という実体験を通して食に関する知識理解、関心を深めることができます。 具体的には、主食、主菜、副菜が揃ったバランスの良い食事のモデルとして学校給食を取り上げたり、望ましい献立の組み合わせ方、学年による主食量の差、副菜となる献立に使用する食品にはどのようなものがあるか等、実際に目で確認しながら味わったりすることができます。 また、様々な品種名がある食材をクイズ形式で紹介する、その食材を食べることにより体内でどのような効果が期待できるのかを分かりやすくイラストで示すなどの工夫により、児童生徒に興味・関心をもたせ、残さず食べる意欲を高めることができます。 教科等と連携した指導では、給食を授業の導入場面としたり、給食の時間に献立を教材として振り返りを行ったり、給食の献立や食品などを教材として教科等で活用したりすることができます。 栄養教諭は、食に関する指導の全体計画を献立計画に反映させ、学級担任や教科担任は、学校給食を教材として活用できるよう、栄養教諭と学級担任が協力することが大切です。

学校給食は、学校における食育を推進する上で中心的な役割を担っています。 指導時間が確保できるよう、ゆとりのある給食時間を設定することも重要です。