アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:由利本荘市立西目中学校
教科等:1年理科(平成28年10月)
単元名:身のまわりの物質とその性質

科学的な根拠に基づき考える力を育成したい

  • 振り返って次に繋げる
  • 互いの考えを比較する
  • 知識・技能を活用する

実践の背景

  • 実践校は「立志の学校」です。高い志を持ち、将来に渡って力強く生き抜く人間を育てることを理念としています。また、コミュニティ・スクールとして、地域とともに学校づくりを進めています。
  • 開発実践フィールド校として、全職員でアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に取り組む過程を、県教育委員会・市教育委員会・県総合教育センターと連携し、推進地域に公開をしながら進めています。
  • 学校で育てたい資質・能力を全職員で話し合い、それに向けて各教科で具体的な取組を積み重ね、取組を日常化シートに教師の手立てと子供の変容について記入し、共有、検証しながら研究を進めています。

授業改善のアプローチ

単元を通して、生徒が、身のまわりの物質について科学的な探究活動を通して分析していく過程の中で、実験計画の立て方、安全な実験操作の手順、結果のまとめ方、根拠をもった分類・整理・分析の仕方など今後の理科学習の学習の仕方の基礎的な力を育むために、自分たちで実験を計画し、試行錯誤しながら実験を進めていく授業を試みました。その際、単なる探究活動に終わらないように、物質を決定付ける決め手について問い直す視点を大切にすることで、物質固有の性質を意識しながら科学的な根拠をもった学び合いができるように授業を構築しました。

単元づくりのポイント

目標

  • 身のまわりの物質とその性質に関する事象・現象に進んで関わり、それらを科学的に探究し、事象を日常生活とのかかわりでみることができる。
    【自然事象への関心・意欲・態度】
  • 身のまわりの物質とその性質に関する事象・現象の中に問題を見いだし、目的意識をもって観察、実験などを行い、物質固有の性質と共通の性質について自らの考えを導き、表現することができる。
    【科学的な表現・思考】
  • 観察、実験の基礎操作を習得するとともに、観察、実験の計画的な実施、結果の記録や整理などの仕方を身につけることができる。
    【観察・実験の技能】
  • 物質固有の性質と共通の性質について理解することができる。
    【自然事象についての知識・理解】

展開

1
ものを区別する方法について考察する。
2
実験を通して、金属と非金属を区別し、金属の性質をまとめる。
3
銅・鉄・アルミニウムなどの金属をどのように区別するのか考察する。
4
上皿天秤やメスシリンダーで質量や体積を測定し、密度を求め、水に浮く・沈むが密度と関わっていることを見いだす。
5
ガスバーナーの構造を知り、「基礎操作を学び、実際に演習を行う。
6
白い粉を区別するには、どうしたらよいか実験方法を考え、計画を立てる。
7
白い粉を各班の実験の計画に沿って行い、結果からどの実験が物質を区別する判断材料になったのかを考察する。(本時)
8
生活の中で多くのプラスチック製品が使われているのはなぜか考え、用途や性質について話し合う。

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

見た目では分からない物質を判別するために、実験方法を考えて実験を行い、その結果をもとに物質の性質の違いに着目して分類し、分類の根拠を示してその物質が何かを説明することができる。

授業場面より

  • ①前時までの学習と比較して考える

    前時までの学習と比較して考える画像

    前時までは、金属や非金属、金属どうしの区別という、見た目でも多少判断がつく物質の性質を学習してきました。その学習の中で、生徒は、密度や物質固有の性質や共通な性質などに気付くことができました。本時では、「見た目では判断できない物質を,どのような方法で見分けたらその物質が判別できるのか。」という、生徒が前時までの学習と比較して考えていくことができるように授業を構築しました。

  • ②複数の実験を行い、結果を整理・分類する

    複数の実験を行い、結果を整理・分類する画像

    各班の実験計画に沿って、実験を行う場面では、教師は、実験結果を整理・分類できる表を用いて思考の枠組みを提示したり、他の班の実験方法を全員が共有できるようにしたりしていました。このような支援が、生徒の複数の実験結果から、物質を区別するための決め手を判断しようと話し合う姿につながっていきました。

  • ③判別した物質の根拠について話し合う

    判別した物質の根拠について話し合う画像

    グループでの予想を全体で考察する場面です。教師は、すべての班の実験の結果を共有することができるようにホワイトボードで可視化したり、判別した物質の根拠について話し合うことができるように話し合いをコーディネイトしたりしていました。生徒は、自分の班の実験の結果と他の班の実験の結果を関係付けて考えることにより、物質の水への溶け方やヨウ素液の反応、熱したときの変化などが決め手となることについて理解していきました。

  • ④科学的な根拠に基づき判断する大切さを自覚する

    科学的な根拠に基づき判断する大切さを自覚する画像

    学びを振り返る場面です。生徒の記述には、「物質を区別するためには、いろいろな方法で実験し、それらの結果を比較したり、関係付けたりして考えていく重要性を感じた。」や「実験の方法や実験の結果について整理・分析することを通して、科学的な根拠に基き判断する大切さが分かった。今後の実験にも生かしていきたい。」というものがありました。これらの記述から、生徒が、科学的な根拠に基き判断する大切さについて自覚してきていることが分かりました。

報告者:研修協力員  稲岡