アクティブ・ラーニング研修実践事例

岐阜県総合教育センター(平成29年1月)

グループ協議を通して子供の学びを捉え、授業改善につなげる研修会

主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、岐阜県総合教育センターが開設した2回シリーズの講座です。二回目(平成29年1月28日)は、実践フィールド校の一つである岐阜大学教育学部附属小学校から提供を受けた授業を通して、自身や自校の授業改善について考えました。

Ⅰ  実施背景と目的

  • 初回(平成28年12月8日)は、「論点整理」や「審議のまとめ」のポイントを学びました。
  • 本研修会の受講者は、小・中・高・特別支援学校と多様な校種の50名となりました。
  • 二日目の講座では、岐阜大学教育学部附属小学校から算数・社会・理科・教育心理・特別支援教育から授業提供を受けました。受講者はその授業を1つ選択して参観し、その後、それを基に協議を進めています。
  • 学んでいる子供の姿を、アクティブ・ラーニングの視点に沿って整理・分析し、自身や自校の授業改善につなげることを目指しています。

Ⅱ  主な流れと時間配分 全120分 ※二日目

  1. 授業を参観する視点等について確認(進行係)5分
    視点:主体的・対話的で深い学びにつながる子供の姿と、それを支える教師の手立て
  2. 授業を参観(算数・社会・理科・教育心理・特別支援教育から選択)45分
  3. 協議(①グループ協議40分 ②グループ間交流10分 ③グループ協議の全体共有10分)
  4. 省察(個人)10分

準備物:学習指導案、模造紙、フェルトペン、付箋(3色)

Ⅲ  事例のポイント

1  グループ構成の在り方

今回は、グループでの協議を取り入れています。充実した議論が進むように、次のようにグループを構成しました。

【グループで1つのテーブルを囲む】
  • 共通した子供の学びを通して協議をするため、参観した授業ごとにグループを分けました。
  • アウトプットの充実を図るため、一つのグループを5・6人としました。
  • 様々な視点からの意見を求めることを目的として、多様な校種で且つ、学校内での立場や経験年数が異なるように、グループを編成しました。

2  構成を工夫したグループでの協議

今回は、模造紙上で子供が学んでいる姿を整理・分析し、自身や自校の授業改善につながる協議を行いました。

【付箋を貼り、書き込みながら協議】
 
【Yチャート上で整理・分析】
  • グループ協議では、
    ・授業における願う児童の姿を、Yチャートの中心に記入
    ・子供の学ぶ姿とそれを支える教師の手立てを付箋に記入
    ・書き込んだ付箋を、主体的な学び、対話的な学び、深い学びの三つの視点に分類し、さらに内容的に似ているもので整理し、その理由を話しながら、模造紙に貼付
    ・学習プロセスでの並べ替えや三つの視点の関連から見直し
    ・三つの視点と願う児童の姿との関わりについて話し合い
  • グループ間交流では、
    ・グループの一人が、他のグループに対して協議内容を説明
    ・説明を受けた内容を、グループに持ち帰って共有

Ⅳ  成果と課題(受講者の声より)

  • 校種は異なりますが、実際に授業を参観させていただくと、授業改善のための明確な視点を知ることができ、自身の授業に活用するための具体的な手掛かりになりました。また、学級づくり、教具の工夫、子供への関わり方を学ばせていただくことにもなりました。(高等学校教諭)
  • 実際の授業を見て、児童や教師の姿から学ぶことができて良かったです。同じ授業を見た先生方と交流したり、まとめたりする時間があり、自分の気付かなかったことや考えられなかったことを知ることができました。(中学校教諭)
  • 平成29年度の校内研究の方向決めに役立てます。また、今までの歩みの成果と課題を整理することや、職員研修にも役立てます。(小学校教諭)
  • 小・中・高の実践から、アクティブ・ラーニングの視点から学習活動の改善を図る意味やよさを知ることができました。また、後半の演習では、他の方々の意見から新たな気付きもありました。(特別支援学校教諭)

報告者:研修協力員  各務