アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:大田区立小池小学校
教科等:2年体育科(平成29年2月)
単元名:走の運動遊び 「ラン・ラン・ランドで遊ぼう」
走ったり、走り越えたりする楽しさや喜びに気付く力を育成したい
粘り強く取り組む
協働して課題解決する
知識・技能を活用する
実践の背景
- 「すべては小池の子のために」を合言葉に教育活動を進め、「知恵があり、人の心を思いやり、心身ともにたくましい子」の育成を目指しています。また、学校・地域・保護者一体となった、小池小学校地区連絡協議会により、児童の健全な育成に努めています。
- 平成26・27年度大田区教育研究推進校の指定を受け、児童の「伝え合う力」の育成と教師力向上に力を入れています。
- 今年度は、教育活動全般で「考える力(思考力)」、「伝え合う力」の育成を目指し、対話を通した「聞き返す力」、その繰り返しを通してより詳しく説明したり、よい例を考えて話したりといった筋道を立てて考え、伝える「論理的思考力」を培うことにも力を入れている学校です。
授業改善のアプローチ
- 単元を通して、「折れ線コース」、「曲線コース」、「それらが入り交じったコース」でかけっこをする、折り返しリレーをする、様々な障害物でコースを作ってかけっこをする、折り返し障害物リレーをする学習を通して、走ったり、走り越えたりする楽しさや喜びに気付く力を育成したいと考え、本単元を構成しました。
- 本時は、「走り方や走り越え方のよさ」について、様々な障害物を用いた折り返しリレーを通して、気付いていく授業です。コースを高く飛び越したり、低く飛び越したりできるよう、様々な障害物を準備し、リズムよく走ったり、走り越したりする経験ができるようにしました。
- コースは、段ボール、フラフープなどの障害物を組み合わせながら、児童が「リズムよく走ったり、走り越したりする」ことを考えながら作りました。
- 他のグループが作ったコースにも挑戦することで、様々なコースを走る経験を増やし、友達の走る様子をみたり、リズムよく走れた時のコツを共有したり、確認したりすることにつなげ、走り方や走り越し方のよさに気付いていけるようにしました。
単元づくりのポイント
目標
- 【技能】
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いろいろな方向に走ったり、低い障害物を走り越えたりできるようにする。
- 【態度】
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運動にすすんで取り組み、きまりを守り仲よく運動をしたり、勝敗を受け入れたり、場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
- 【思考・判断】
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簡単な遊び方を工夫できるようにする。
展開
- 1時
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- コースの使い方や用具の使い方を確認しながら、折れ線コースでかけっこをする。
- 作ったコースで折り返しリレーをする。
- 2〜4時
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- コースを作ってかけっこをする。(曲線コース、曲線・折れ線が混ざったコース)
- 作ったコースで折り返しリレーをする。
- 5〜8時
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- コース作ってかけっこをする。
- グループ同士で交換しながらいろいろなコースでリレー遊びをする。
- 9〜10時
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- 障害物を用いて、工夫して作ったコースでかけっこをする。
- 楽しくするための規則を選んでリレー遊びをする。
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
- 低い障害物を走り越えることができるようにする。
【技能】 - 友達と協力して、用具の準備や片付けをすることができるようにする。
【態度】 - 場や用具を変えたり選んだりしながら、気持ちよく走ったり走り越えたりするコースを作ることができるようにする。
【思考・判断】
授業場面より
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①本時の見通しを持つ
導入の場面です。教師は、児童が自分のめあてを話すことで、一人一人が自分自身のめあてを確認できるようにし、「リズムよく走りたいな」、「今日はリレーに勝ちたいな」という思いを持てるようにしました。(①)掲示物を使い、前時までの児童の学びを振り返り、(②)準備運動を行いました。この時、「どこを意識する?」、「こんな大きな岩が転がってきたよ。どうする?」と本時のめあてにつながるような声を掛けることで、児童は、「膝を高くあげて、リズムよく」、「大きく跳ぼう」と本時の動きを意識して行うことができました。(③)このような教師の支援により、児童は、活動の見通しを持って主体的に取り組むことができました。
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②コースを作ってかけっこをする
自分たちでコースを作ってかけっこを行う様子です。教師は、様々な走り方や走り越し方ができるよう、ダンボールやフラフープ等の障害物を準備しました。安全面にも配慮する言葉を掛け、児童がその視点からも運動を捉えることができるようにしました。(①)児童は、安全面にも気を付けながら、グループごとに、障害物を置き、リズムよく走ったり、走り越えたりできるコースを作っていきました。(②)このグループは、同じ高さの障害物を二つずつ並べることが、走り越えやすさにつながると考え、コースを作り実際に走りました。(③)「ポンポンって走れるのがよい」と二つずつ同じ障害物を並べたよさを感じながら走りを楽しむ一方で、「もっと間を広くすると、スピードが出るのでは」と、より、気持ちよく走り越すための方法も考えていくことができました。
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③コースを修正し、障害物リレーを行う
教師は障害物リレーを行う前に、かけっこの様子を全体で共有しました。かけっこを行ってみてのコースの改善点を出し合い、より楽しんで走ったり、走り越えたりする動きができるようにするためです。ある児童の、「障害物と障害物の間がせまいと走りにくし、転んでしまう。間をもっと広げた方がよいのではないか。」という意見を取り上げ、全体で共通理解を図ります。(①)各グループで、間の歩幅を確認しながら、コースを修正し、(②)実際に走ってみることで、「私は左足で飛んだ方がいい」、「ぼくは右足だよ」と互いに話合いながら、踏み切る足に着目し、走り越すためのよりよい動きをそれぞれが見付けていきました。(③)このように、友達のよい動き見付けたり、話すことで気付いたりするなどの試行錯誤を繰り返しながら、走り越える楽しさを見いだした児童は、見付けた、よりよい動きを生かしながらリレーを行うことができました。(④)
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④コースを変えて行う▶学びを振り返る
グループ同士でコースを交換してリレーを行っている場面です。他のグループが作ったコースで走ることで、自分で見付けたよりよい動きを生かし、さらに「走り越えるよさ」を実感していくためです。障害物を走り越していくための足を左足から右足に変えることで、気持ちよく障害物を走り越すことができることに気付いたこの児童は、コースを変えてもそのことを生かしていきました。(①)
終末に、教師は、学びの成果と次時への意欲付けを図るために、「できたこと」、「できた理由」についての振り返りの時間を設定しました。先程の児童は、「最初は、左足から跳び越えてやりにくかったけれど、右足に変えたら走りやすかった。次はもっとスピードが出せるようにしたい。」と自分の学びの成果を実感していました。(②)
仲間の動きをみたり、みて考えたことをことを試したりしながら成果を実感できたことは、次学年の「小型ハードル走」等にも生かしていくことができます。
報告者:研修協力員 佐藤