アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:三次市立川地小学校
教科等:5年算数科(平成29年1月)
単元名:分数のかけ算とわり算を考えよう
面積図や式を使って考えを伝え合い、既習の内容と結び付け統合的に考える力を伸ばしたい
見通しを持つ
互いの考えを比較する
知識・技能を活用する
実践の背景
- 全校児童約100名の小学校です。
- 「ふるさとを愛し、夢の実現に向けて努力できる児童の育成~ことばが響きあう、心が響きあう~」を学校教育目標とし、伝え合う力を育てる授業づくりに取り組んでいます。
授業改善のアプローチ
- 毎時間の学習が次の学習につながるように、学んだことや考え方のまとめを掲示するとともに、授業では前時に使った考えを確認するように働きかけます。
- 本時の課題を解決するための見通しにつながる児童の気付きを全体で共有することで、個々の児童が課題に取り組めるようにします。
- 3~4人のグループで考えを整理したホワイトボードを黒板に掲示して比べることで、互いの考えの共通点を見いだし、根拠を明らかにしていきます。
単元づくりのポイント
目標
- 分数×整数、分数÷整数の計算の意味や計算の仕方について理解し、それを用いることができるようにする。
【算数への関心・意欲・態度】 - 分数×整数、分数÷整数の計算の仕方を、分数の性質や既習の計算と関連付けてとらえ、学習に用いようとする。
【数学的な考え方】 - 分数×整数、分数÷整数の計算をすることができる。
【数量や図形についての技能】 - 分数×整数、分数÷整数の計算の意味や計算を理解する。
【数量や図形についての知識・理解】
展開
分数のかけ算とわり算を考えよう(全6時間扱い中第4時)
- 1
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分数×整数の計算の意味や計算の仕方を理解し、その計算ができる。(2)
- 2
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分数÷整数の計算の意味や計算の仕方を考え、考え方を説明するとともにその計算ができる。(2)(本時)
- 3
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本単元をまとめ、振り返る。(2)
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
- 分数÷整数の計算の仕方を、面積図や式を使って説明できる。
授業場面より
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①分数÷整数の計算の仕方を考える
本時、児童は4/5÷3の計算の仕方を考え、考え方を説明していきます。
教師は児童に「前時に考えた4/5÷2との違いは何だろう、どうやったら計算できるだろう」と問いかけます。
児童は、前時とは異なり「分子の4が割る数の3で割り切れない」ことに気付き、計算の仕方を考え始めます。
ある児童は、どうすれば分子が割る数で割り切れる数になりそうか考えます。別の児童は、前時に学んだ面積図をかいて説明ができないか考えます。
児童によるこれらの気付きを全体で共有することで、個々の児童が解決の見通しを持って問題に取り組む姿につながりました。 -
②グループで互いの考えを比べる
3~4人グループで互いの考えを比べ、考え方を整理していきます。このとき教師は、児童の思考の過程を座席表に記録しながら机間指導をすることで、全体で追究する際に発表を促すグループの指名順を計画していきます。
あるグループでは、面積図をかいて考え、「1/15が4個分になるから、4/15になりそうだ」という予想を交わす中で、ある児童が「私も同じように考えて、図を見て考えると割られる数である分母の5が計算すると15になる気がするけど、本当に正しいのだろうか」という疑問を出します。
教師は、この疑問を価値付け、どのグループにもどうやったら正しいことが確かめられるかについて考えるように促し、面積図や式を使って説明するという本時のねらいに迫っていきます。 -
③グループの考え方をまとめる
あるグループでは、「同じ大きさを表す分数である4/5=12/15を使って、前時と同じように割る数の3で割り切れるように分子を12にして計算」します。
また、②で疑問を抱いた児童がいるグループでは、考えた計算の仕方が正しいか、いつでも言えるかということを数値を変えて確かめていきます。写真のように、もとの式の一部を変えた4/6÷3という式の計算をします。さらに、面積図をかいて単位分数が1/18になっていることを確認して計算の意味を捉え、分数の性質や既習の計算を基に考え、計算の仕方が正しいことを統合的にまとめていきました。
教師が児童の疑問を的確に把握し、②のように深めてほしいところを取り上げ、全体で考えるように児童に働きかけることで、既習事項を使い、互いの考えを伝え合いながら児童が分数÷整数の計算の考え方に納得していく姿につながったと言えます。 -
④全体で共有し、計算の仕方を整理する
教師は各グループで考えを整理したホワイトボードを黒板に掲示して、共通点を見つけるように、児童に働きかけます。
児童は同じ大きさを表す分数を使って計算で考えても、面積図を使って考えても同じ結果が得られていることに気付きます。このことから、児童は分数÷整数の計算の仕方を、「分子が割る数で割り切れないときは、分母と割る数をかければよい」とまとめ、面積図からこの式では単位分数の1/15が4個分になると確認していきました。また、③の考えをうなずきながら聞き、考えた計算の仕方が正しいことに納得する児童の姿がありました。
このように、個で考えを持ち、グループで対話し、互いの考えの共通点を見いだすことで思考が広がり、全体で共有することで学びが深まっていく姿につながっていると捉えられます。
報告者:研修協力員 木野村