アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:福岡県立糸島高等学校
教科等:1年物理基礎(平成28年11月)
単元名:第1編:運動とエネルギー 第2章:運動の法則
習得場面でALを入れ深い理解の促進
興味や関心を高める
互いの考えを比較する
知識・技能を習得する
実践の背景
- 実践校は普通科の高等学校です。生徒のほとんどは、卒業後大学等に進学します。
- 同校の校訓は「自主積極」です。友情をもって団結したり、知性高き社会人になる等の目指す生徒像を共有しています。
- 近年、入学する生徒の様相が変化したり、進路実績が向上したりすることによって、教員側は、それらの変化に対応した指導力を身に付けるために授業改善に取り組んでいます。
授業改善のアプローチ
- 上記の背景を踏まえ、同校は研究テーマを「ICTを活用した21世紀型授業を取り入れた授業力の向上」と定めました。ICT活用を含め新しい授業手法を学び、最適な授業手法を選択できるようになることで授業力向上につながると考えました。
- 本科目については、教師の説明・解説を最小限度にとどめ、可能な限り生徒が自分で考える時間を多く設定することや、周囲の生徒と協力して互いに知識を補完しながら問題の解決を図る授業展開を心掛け、自ら積極的に考える姿勢や深い理解の促進に努めました。
単元づくりのポイント
目標
- 身の回りの力学的現象を科学的に捉える力を養う
【関心・意欲・態度】 - 力学についての基礎的な見方・考え方を理解させる
【知識・理解】 - 力学に関する概念や原理・法則を自然現象に適用して考察できるようになる
【思考・判断・表現】
展開
全11時間
- 1
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力とそのはたらき 2時間
- 2
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力のつりあい 2時間
- 3
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運動の法則 3時間
- 4
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摩擦を受ける運動 2時間
- 5
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液体や気体から受ける力 2時間(本時1時間目)
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
- 圧力の定義・水圧の求め方・浮力の求め方・重力・密度について理解する。
【知識・理解】 - 状況を正確に図示し、水に浮かぶ物体の浮力を求めることができる。
【思考・判断・表現】
授業場面より
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①演示実験を見て目標を確認する
・各自予想を立てた後、浮力の演示実験(台ばかりの上に水槽を置き、その中にバネばかりにつるしたおもりを入れると2つのはかりの目盛はどうなるか)を見て、現象を確認しました。
・ICT(書画カメラ・プロジェクタ)を使って実験の様子を見せることで、生徒は身近に現象を感じることができ、予想とは異なる目盛の動きについて、知的好奇心を持って観察することができました。
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②教師の説明を聞く
・演示実験で見た現象を、教師の説明を基に、圧力の定義や水圧・浮力の求め方等確認しながら、運動方程式を立てていきました。
・重力や質量・密度・体積の関係などの既習事項も活用し、量的な視点で関連づけて捉え、運動方程式で表現することを学習していきました。
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③問題演習を行う
・場面1,2の学習を基に、関連する問題に取り組みました。教師は、生徒が段階的に基礎事項の確認から応用的な問題解決に取り組めるよう、問題の順序や内容を工夫した学習プリントを作成し配付しました。
・演習中に教師は、(制限時間を設け、机間指導だけでなく挙手や起立等により)生徒の解答状況を把握しました。そして、適宜、教師自身が解説を加えたり、周囲の級友と話し合わせたりすることで、生徒は、自立的に、時に協働的に、学習した概念を活用し、疑問を残したまま次に進むのではなく、解る手ごたえを積み重ねていくことができました。
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④学んだことを確認する
・評価問題に取り組み、生徒同士で解法や解答を確認しました。ほとんどの生徒が、本時の目標である浮力の概念を使い、力の矢印を図示し、運動方程式を立て、水に浮かんだ物体の質量や密度を求める「深い学び」ができました。
・教師は、固定したグループを設定しないことで、自主的な対話を促しました。その結果、右の写真のように、授業後も対話し、自分の学びを級友と語り合い確認する等の「学びに向かう力」を発揮した姿が見られました。
報告者:研修協力員 谷内