アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:徳島県立城ノ内中学校・高等学校
教科等:4年体育(平成28年10月)
単元名:バスケットボール

自己や仲間の課題を楽しく協働的に解決

  • 振り返って次へつなげる
  • 思考を表現に置き換える
  • 知識・技能を習得する

実践の背景

  • 県のリーディングハイスクールとして、高い志をもって社会の平和と発展に貢献する人材育成をめざしています。
  • 生徒の状況:授業に積極的に取り組む生徒がほとんどで、8割の生徒が体育の授業が好きと答えています。しかし、バスケットボールが好きは6割弱であり、苦手な理由は「ボールが怖い」「シュートが上手くできない」等とのことです。

授業改善のアプローチ

  • 前項の状況により、中学校での学習を振り返りながら安定したボール操作を身に付けるとともに、チームや個人の課題を見付け、相互に教え合うことでそれらを解決し、個人技能や戦術の上達を図ることが重要だと考えました。
  • 苦手意識をなくし、協力しながら安全かつ楽しく練習・試合を行うことが大切であり、そのことによって運動に対する意欲を高め、生涯を通じてバスケットボールに親しめる能力を身に付けることにつながると考えました。

単元づくりのポイント

目標

  • 勝敗を競う楽しさや喜びを味わい、作戦や状況に応じた技能と仲間と連携した動きを高めてゲームが展開できるようにする。状況に応じたボール操作と空間を埋める等の連携した動きによって空間への侵入などから攻防を展開できるようにする。
    【運動の技能】
  • バスケットボールに主体的に取り組むとともに、フェアプレイを大切にすること、役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること、合意形成に貢献しようとすること、健康・安全を確保することができるようになる。
    【関心・意欲・態度】
  • 技術などの名称や行い方、体力の高め方、課題解決の方法、競技会の仕方などを理解し、チームや自己の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
    【知識・理解】【思考・判断】

展開

全17時間

1

オリエンテーション、試しのゲーム 1時間

2

基本的技能(パス、キャッチ、ドリブル、シュート)の練習 7時間(本時5時間目)

3

集団的技能(ディフェンス、ゴール前での攻防)の練習 3時間

4

試合(リーグ戦) 6時間

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

  • 各チームで考えたシュートの課題に対して仲間と協力し、課題解決に向けて教え合い励まし合いながら、課題練習に取り組むことができる。【関心・意欲・態度】
  • 課題解決学習の中で得た動きを理解し、簡易ゲーム(シュートゲーム)を実践することができる。【運動の技能】

授業場面より

  • ①前時の振り返りと本時の目標設定をする

    前時の振り返りと本時の目標設定をする画像

    ・前時を振り返る場面です。教師は個人の課題が明確となるように、スクリーンに前時のシュート練習の映像と各グループの振り返りを見せました。
      ・「手首のスナップを使う」等、個人の課題と共に、グループ全体の課題を明確にできました。

  • ②チーム内で再検討する

    チーム内で再検討する画像

    ・活動1を踏まえ、各グループで、自分達に必要な事柄(留意点)と本時の目標について、文章化していきました。
      ・(体育においてAL導入時に問題とされる)運動時間の減少を回避し、書きながら動作を確認したり、素早く練習に移ったりできるよう、立った状態で協議し記入していきました。
    ・再検討の結果、「腕や手首だけでなく、膝をしっかり使う」「足の開く幅」等、前時には気付かなかった事項に留意できました。

  • ③検討結果をもとに練習する

    検討結果をもとに練習する画像

    ・グループ内を二分割し、実際にシュート練習をする生徒と、彼等を観察し、気付いた点を記入していく生徒に分かれて練習しました。
      ・運動を「する」視点だけでなく、「見る」視点から動きを観察し、シュート向上のポイントに対する気づきを伝えていきました。
      ・協働的に課題解決をするチームワークが芽生え、観察側の生徒が、練習する側の生徒を励ましたり、アドバイスを与えたり、上手くいくと拍手して喜んだりする姿が見られました。

  • ④実践(シュートゲーム)する

    実践(シュートゲーム)する画像

    習得した技能を活用する場として、制限時間内にシュート本数を競うゲームをしました。本時の協議と練習の成果を活かし、シュート技能を向上させる「深い学び」ができました。
      ・また、育んだチームワークを発揮し、グループ内で留意した点を再確認するべく声を掛け合ったり、経験者がボール回しを迅速に行ったりする等「仲間と協力し、課題解決に向けて教え合い、励まし合う」という本時のねらいに適った姿も見られました。
      ・しかし、本番になると、上手くいかない部分もあり、その点が次時の課題だと実感できました。

報告者:研修協力員  鬼塚