アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:由利本荘市立西目小学校
教科等:1年国語科(平成29年1月)
単元名:くらべよう しらせよう
~〇〇赤ちゃんずかん「どうぶつの赤ちゃん」~
事例の違いについて、観点を持って比べて読む力を育成したい
- 見通しを持つ
- 互いの考えを比較する
- 知識・技能を活用する
実践の背景
- 実践校は、学校教育目標を「ふるさとに学び、自分の生き方を真剣に考える子どもの育成」としてふるさと西目に学び、西目らしさの薫る体験的な学習活動や問題解決的な学習活動を重視し、研究主題は「学びの自立を目指して」としています。また、コミュニティ・スクールとして、地域とともに学校づくりを進めています。
- 開発実践フィールド校として、全職員でアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に取り組む過程を、県教育委員会・市教育委員会・県総合教育センターと連携し、推進地域に公開をしながら進めています。
- 子供自身が課題を発見し、解決し、発信していく単元構想の中で、どのように事象とかかわり、他者とかかわり、最終的に子供自身が自己の高まりとして手応えを得るのか、継続した見取りと教師の出番の在り方を問いながら、子供の学び続ける意欲が醸成されることを「学びの自立」と捉え研究を推進しています。
授業改善のアプローチ
児童はこれまでに、「くちばし」「うみのかくれんぼ」「じどう車くらべ」の学習を通して、書かれている内容の大体を読み取り、説明的文章が「問い」「答え」で構成されていることを学習してきました。そして、「問い」「答え」の文章構成を活用し、教材文に沿って、クイズを作ったり図鑑や事典を作ったりする学習活動を積み重ねてきました。本単元では文章の内容の大体を読み、事例を比較する際の観点を自分たちで見付けていくことを大切にします。学んだことのよさを子供自身が自覚できるように、自分たちで見付けた観点を活用して、本や文章から大事な言葉や文を書き抜き、それぞれの事例の違いや共通点を比べて、動物の赤ちゃんのすごいと思ったところを「赤ちゃんずかん」にまとめていきます。互いの「赤ちゃんずかん」について交流する際にも、観点をもって比べて読もうとする児童の学びが展開されるように教師は学びをファシリテートしていきます。本単元を通して、事例の違いについて、観点を持って比べて読む力を育成したいと考え、単元を構築しています。
単元づくりのポイント
目標
- 動物の赤ちゃんについて説明されている文章や図鑑などを読み、進んで調べようとしている。
【国語への関心・意欲・態度】 - 時間的な順序や事柄の順序を考えながら、内容の大体を読み、本や文章から大事な言葉や文を書き抜くことができる。
【読むこと イ】 - 主語と述語の関係に注意して、敬体で書かれた文章を理解できる。
【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項イ(カ)(キ)】
展開
- 1次 学習計画を立てよう
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- 1, 2
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- 動物の赤ちゃんが書かれている本のブックトークを聞く。
- 赤ちゃんについて知っていることを発表し合う。
- 「どうぶつの赤ちゃん」のすごいと思ったことを見付けるために、問いの部分に対する答えを見付け出すことが必要であることを確かめ、学習の見通しを持つ。
- 「どうぶつの赤ちゃん」を読み、感想を話し合い、学習計画を立てる。
- 2次 動物の赤ちゃんの違いや同じところを比べよう
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- 3, 4
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- ライオンとしまうまの赤ちゃんの生まれたばかりの様子を読み取り、目、鼻、口などの観点に沿って違いを比べる。
- ライオンとしまうまの赤ちゃんのすごいと思ったことを見付け、その理由を書く。
- 5, 6
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- ライオンとしまうまの赤ちゃんの成長の様子を読み取り、動くとき、お乳を飲む期間、自分でえさをとるまでなどの観点に沿って比べる。【本時】
- ライオンとしまうまの赤ちゃんのすごいと思ったことを見付け、その理由を書く。
- 7
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- 「カンガルーの赤ちゃん」を読み、ライオンやしまうまの赤ちゃんと比べて、似ているところや違うところを今まで学習した観点を基にして見付ける。
- カンガルーの赤ちゃんのすごいと思ったことを見付け、その理由を書く。
- 3次 動物の赤ちゃん図鑑をつくろう
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- 8, 9
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- 他の動物の赤ちゃんについて写真絵本などで自分で決めた観点に沿って調べ、必要なことを書き抜く。
- 自分が調べた動物の赤ちゃんのすごいと思ったことを見付け、赤ちゃん図鑑にまとめる。
- 10
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- 他の動物の赤ちゃんについて調べたことを交流し、感想を伝え合う。
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
ライオンとしまうまの赤ちゃんの大きくなっていく様子について観点を見つけ、比べながら読むことができる。
授業場面より
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①前時までの学びを想起し、本時の見通しを持つ
前時に学習したライオンとしまうまの赤ちゃんの生まれたときの様子の違いを「大きさ」「目や耳の様子」「母親と似ているかどうか」という児童が見付けた観点に沿って想起できるように、学びの足跡を国語コーナーに掲示しておき、児童が主体的に前時までの学びを振り返ることができるようにします。このような教師の手立てが、前時までの学習とつなげながらライオンとしまうまの赤ちゃんの大きくなる様子を比べようとする児童の姿につながりました。
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②個人で大切な言葉や文を書き抜く
ライオンとしまうまの赤ちゃんの成長の違いが分かるところにサイドラインを引き、シートに書き抜く場面です。教師は、ライオンとしまうまの成長の様子が比較できるように教材文が上下2段となったシートを準備します。また、サイドラインを引くことに戸惑っている児童には、「動くとき」「お乳を飲む期間」「自分で食べ物をとるまで」という3つの部分に分けた資料を提示して、1つずつ比べられるように支援をしていました。このような教師の手立てが、ライオンとしまうまの赤ちゃんの成長の違いについて観点を見付けながら比べようとする児童の姿につながりました。
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③互いの考えを比較して話し合う
互いの考えを比較して話し合う場面です。教師は、「ライオンの赤ちゃんは動けなくてお母さんに運んでもらうけど、しまうまの赤ちゃんは30分もたたないうちに立ち上がるよ。」「ライオンの赤ちゃんは、おちちだけ飲むのは2ヶ月で、しまうまの赤ちゃんは7日ぐらいだ。」などの児童の考えに耳を傾けていきます。その際、互いの考えを比較するときには、「生まれて2か月ぐらい」「1年ぐらい」などの時間の経過を表す言葉に着目し、違いが明確になるようにファシリテートしていきます。また、対比される項目が、どのような言葉でまとめられるかを話し合うようにしていきます。このような教師の手立てが、比較する観点「動くとき」「お乳を飲む期間」「自分で食べ物をとるまで」の3つ観点を見付け、観点に沿って比べると違いが明らかになることのよさを獲得しながら学び合う児童の姿につながりました。
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④学びのよさを自覚する
学習をまとめ、振り返る場面です。教師は、これから生かしていきたいことという視点を提示し、自分の学びを見つめ直すことのできる場を確保しています。それが、「文章を比べて読むと違いが分かるんだな。他の動物の赤ちゃんについてもライオンやしまうまの赤ちゃんと比べて読んでみたい。」「今日学習したことを自分の作る動物赤ちゃん図鑑にいかそう。」という自分がもっている動物の知識との違いやそれぞれの成長に違いがあることなどを観点を見付け、比べて読むことを活用していこうとする姿につながりました。
報告者:研修協力員 稲岡