アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:徳島県立城ノ内中学校・高等学校
教科等:4年家庭科(平成28年10月)
単元名:消費行動を考える
消費者市民社会の一員として社会を生きる実践力を身につけさせたい
自分と結び付ける
互いの考えを比較する
自分の考えを形成する
実践の背景
- 実践校は、「高い志をもって社会の平和と発展に貢献できる人材の育成ー豊かな人間性、国際性、創造性に富むたくましい人間の育成をめざす」ことを教育目標としています。
- 中高一貫教育校のメリットを最大限に活かし、グローバル人材の育成をめざしています。
授業改善のアプローチ
- 教師は、生徒に自分も一消費者であるということや、自分の消費活動が世の中と繋がっているという自覚を持たせたいと考えました。そこで、一人一人の消費行動は企業に対して自らの意思を表すことであり、社会を変えることにも繋がるということを理解させ、消費者市民社会の一員として社会を生きる実践力を身につけさせたいと考え、単元を設定しました。
単元づくりのポイント
目標
- 消費生活の現状と課題や消費者の権利と責任について理解させ、適切な意思決定に基づいて行動することができる。
(知識・理解) - 生活と環境のかかわりについて理解させ、持続可能な社会を目指して自らの生活意識やライフスタイルを具体的に見直すことができる。
(思考・判断・表現)
展開
- 第一次
-
多様化する販売方法や、消費者信用の内容を理解するとともに、契約社会における消費者としての自覚と責任ついて考える。
- 第二次
-
消費者問題の背景と消費者関連の法律を知るとともに、消費者の権利と責任を正しく理解する。(本時)
- 第三次
-
日々の生活を見直し、地域・学校・家庭・個人でできる環境保全を考え、実践する。
- 第四次
-
毎日の生活とお金とのかかわりについて考えるとともに、家庭経済と国民経済の関係を理解する。
- 第五次
-
家族構成、ライフスタイル、ライフステージと生活費のかかわりについて理解するとともに、自己の生活にあった家計管理の方法が工夫できるようにする。
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
自らの消費行動が社会や環境に影響を与えることを理解し、消費者として適切な意思決定ができる。
授業場面より
-
①本時の学習課題を確認する
安価な製品が生まれる背景に、貧困や児童労働の問題があることを写真や報道資料等で示し、消費者の選択が生産者の生命に関わることを確認している場面です。
教師は、消費者として適切な意思決定ができることを本時の目標とすることを伝えます。
生徒は、エシカル消費(倫理的消費)の考えが生まれたいきさつを知り、自らの消費行動が人や社会や環境に影響を与えることに気づきます。実際に自分たちが着ている衣服や食物が作られる過程に繋がることを知り、「エシカル消費」を自分のこととして捉えていきました。 -
②グループ学習で話し合う
ワークシートにしたがって、グループで「自分たちができるエシカル消費」について話し合います。普段、どんなことを考えて買い物をしているのか、自分たちがどんな消費者かをホワイトボードを使って整理し、その先に繋がる問題について考えを広げます。
教師は、話し合いの手順を示したワークシートや、思考を可視化するためのホワイトボード、静電気シート、付箋などを用意しています。
生徒は、「エシカル消費」の定義をグループで読み直し、自分たちの消費行動が「エシカル」かどうか考えます。議論を通して、消費者としての自分を自覚していきました。 -
③自分たちの考えを深める
「エシカル消費」をするために、どのような知識や情報が必要か、他国、企業、国民(消費者)として求められることはどんなことか、グループで考察し、その内容を全体で共有する場面です。
教師は、商品選択におけるさまざまな視点について例示することで、生徒たちが新たな意見を持ち、対話を繰り返す場面を作りました。
生徒は、様々な立場から考えることで、多角的な視点を持ちました。ニュースで得た国際状況を踏まえたり、経済的な視点から考えたり、それぞれ関心を持っている知識を出し合い、その意見を可視化しながら対話を繰り返すことで、考えが広がり、深まっていきました。 -
④学習内容を振り返る
教師は、「お金を出して商品を買うということは、選挙で一票を投じるのと同じ意味を持つ」と伝え、生徒は適切な意思決定に基づき消費行動を取ることが、社会を変えていく力になると気付き、振り返りに向かう場面です。
生徒は、各グループで練った考察を基に、自分はどのような消費者でありたいかを考えます。ワークシートに書くことで、本時の学びを振り返り、消費者の在り方について考えを深めていきます。自分たちの日々の消費活動を意識したことや様々な立場から消費活動について考えたことで、改めて自分も一消費者であり、適切な意思決定をすべきだと自覚できました。
報告者:研修協力員 木下