アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:岐阜大学教育学部附属小学校
教科等:4年図画工作科(平成28年9月)
題材名:〇〇な生き物!(絵や立体、工作に表す)
試行錯誤しながら、納得のいく作品を追究する力を育成したい
振り返って次へつなげる
互いの考えを比較する
新たなものを創り上げる
実践の背景
- 実践校は、創設以来「人間教育」を教育理念とし、理想の全人格教育を目指して、多様な子どもの関わりの中で育てています。
- 学校の教育目標を「なかまのしあわせのために、よく考え、助け合い、つくりだす、心身ともに健康な子どもの育成」とし、「自分の頭で考える子ども(自主性)、あたたかい胸で助け合う子ども(社会性)、じょうぶな手足でつくりだす子ども(創造性)」を願う児童の姿として描いています。
- 研究主題を「仲間と共に、新しい価値を創り出す児童の育成~主体的・協働的な学びと自己の学びを省察する児童~」としています。
授業改善のアプローチ
児童が願いに合う表現を追究するために、表現方法を吟味し、納得のいくように作品をつくります。
そのために、
- 「気付く」「比較する」「選択する」という思考のプロセスを繰り返します。
- じっくりと自分の作品と向き合ったり、互いの作品を鑑賞したりする時間を保障します。
- 記述とタブレットPCで撮影した画像で、製作過程を明らかにしながら自分の学びの変容を自覚し、次の学びにつながる振り返りを行います。
題材づくりのポイント
目標
- 自分の考えたイメージを、紙で様々な加工をし、生き物に表すことを楽しもうとしている。
【関心・意欲・態度】 - 自分の表したいことを見付けて、どのような加工方法を組み合わせるか、どの色や形を使うと願いに合うのかを考えている。
【発想や構想の能力】 - 自分の願いに合うような生き物に表すために、願いに合う色や形で表したりすることができる。
【創造的な技能】 - 自分が感じたことを話したり、友人の考えを聞いたりしながら、自分なりの形や色のよさや面白さに気付く。
【鑑賞の能力】
展開
- 導入(1時間)
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- どんな生き物にしたいかアイデアスケッチに表しながら想像しよう(1)
- 展開(5時間)
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- 生き物の特徴にあった、加工方法の組み合わせを試しながら、色も考えて表そう(1)
- いくつか試しながら、生き物の特徴が表せるように工夫してつくろう(1)
- 表したいことに合う生き物にするために、どのように特徴を表すのかを工夫して表そう(1)
- 納得のいく作品になったか、表したいことと作品を確認して表現しよう(2)(本時)
- 終末(1時間)
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- 作品を鑑賞し、自分なりの形のよさや面白さを感じ取ろう(1)
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
自分の思い描いた「○○な生き物」の特徴を効果的に表すために、装飾などを付け加えたり、取ったりしながら作品を完成させることができる。
授業場面より
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①本時の学習を見通す
「正義感があって、強くて速く飛べそうな生き物をつくりたいけれど、どうしたらいいかなあ。」というように、それぞれに自分の願いを持っています。
授業の冒頭では、自分の願いに合った作品づくりに向けて、形とイメージのつながりを考える教師とのやり取りを基に、どのように構想して、どのようにつくったらよいかという方向性を持ちます。 -
②試行錯誤を繰り返す
「大きくてふくらませた羽ができた!」と、教師や仲間に自分の作品を満足そうに見せています。
製作過程において、この児童は「つくり、つくりかえ、つくりつづけ」、粘り強く自分の作品に向き合っていきました。
そこには、自分の願いに合った作品づくりに向けて、教師や仲間との対話から、大きくてふくらませた羽にするイメージやその製作方法についてのヒントを得たことが支えとなっていました。 -
③願いと照らし合せて振り返る
この児童は「強そうな生き物に見せるために、足と羽を太くつくることができました。次はこまかいところををつくりたいです。」と、本時の学びと次時への意欲を書き表しました。
このように、毎時間、記述とタブレットPCで撮影した画像で学習の足跡を残しています。そこには、常に自分の願いと作品を照らし合わせた振り返りがあります。このことによって、成果を確かめて味わったり次の見通しを持ったりして、自分の願いに合った作品に近づけていきます。
報告者:研修協力員 各務