アクティブ・ラーニング授業実践事例
実践事例 高等学校3年公民科(平成27年9月)
単元名:現代の民主政治と政治参加
政治的関心の向上と公民的資質を養いたい
見通しを持つ
共に考えを創り上げる
自分の考えを形成する
実践の背景
- 同校は、家庭科と商業科の専門高校で、卒業後、多くの生徒は就職します。
- 学校オリジナルブランドの商品開発や販売実習があることから、在学中からコミュニケーション能力のある生徒の育成を目標として掲げています。
- これまで、生徒の中には、就職試験に直結する授業の評価に関して、基準が不明瞭なため、学習意欲が減退する者や不満を持つ者がいました。
授業改善のアプローチ
- 上記の生徒の状況を踏まえ、「専門高校における主体性を引き出す授業改善と評価法の工夫」を研究テーマに掲げ、教科や学科を越え、生徒ともに、授業の目的やゴールイメージや評価規準を共有する取組をしました。
単元づくりのポイント
目標
- 様々な政治的事象を通じて、民主政治と政治参加について意欲的に考察する。
【関心・意欲・態度】 -
議会制民主主義や国民主権などの日本国憲法に定められている民主政治の在り方やその社会で主体的に生きる人間の在り方を幸福、正義、公正などを用いて多面的・多角的に考察し、その過程や結果を様々な方法で適切に表現する。
【思考・判断・表現】 - 現代の民主政治に関する諸資料を様々なメディアを通じて収集し、効果的に活用する技能を身に付ける。
【知識・理解】
展開
全22時間
- 第1次
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日本国憲法の制定とその基本原理について考える 5時間
- 第2次
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基本的人権の保障について考える 6時間
- 第3次
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日本の議会制民主主義と三権分立の仕組みについて考える 11時間
- 1
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国会の運営と権限について図示化してまとめる (2)
- 2
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内閣と行政の民主化についての意見をまとめ、個人で発表する (1)
- 3
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裁判所の仕組みと権限について、模擬裁判を通じて考える (2)
- 4
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地方自治の課題について、討論活動(ディベート)を行う (2)
- 5
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選挙制度の現状と課題について、模擬選挙を通じて考える (2)
- 6
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世論の形成と政治参加について、ジグソー学習を通じて班の意見を発表する (2)本時
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
最近の住民投票の事例をもとにした政治参加についての意見を主体的に考え、それを表現することができる。【思考・判断・表現】
授業場面より
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①前時の確認と個で説明準備をする
・各自が調べた資料をグループで共有し協議する前に、伝える内容や方法について個人で考える場面です。
・教師は、前時までの流れを全体で確認し、(表現方法や伝えるべき内容の確認という)目的を限定した個の準備時間を設けたので、生徒は②の協議において、自分なりの解釈をして表現することができました。 -
②ジグソー活動をする
・①をもとに、グループで協議し意見をまとめる場面です。
・①をせずに、型通りにこの活動をすると、資料を棒読みしたり、見せ合ったりするだけで、議論が深まらない場合があります。
・この授業では、①のおかげで、自分なりの解釈を交流し、議論し、まとめることができました。 -
③クロストークをする
・②でまとめた内容をホワイトボードに記入し、全体交流する場面です。
・この学校では、教科や学科を越え、コミュニケーション能力の育成と主体性を育むべく、発表に関するルーブリックを作成し、生徒と共有していますので、聞く側を意識して発表し、グループで、住民側、行政側等から多角的にとらえ、議論した結果を伝えることができました。 -
④リフレクションをする
・最後に、学習シートに本単元で学んだこと、考え方ことをまとめました。
・生徒の座席をスクール形式に戻すことで、個人でじっくり考える環境となり、自分の学びを振り返ることができました。
・他者と最終的に個人の考えを形成していくという深い学びが実現されました。
報告者:研修協力員 木下