アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:廿日市市立四季が丘小学校
教科等:1年国語(平成29年11月)
題材名:おとうとねずみ チロ

自分の考えをまとめて伝え合う力を育成したい

  • 見通しを持つ
  • 互いの考えを比較する
  • 自分の考えを形成する

実践の背景

  • 実践校は全校児童約300名の小学校で、眼下に瀬戸内海の島々を眺める、自然に恵まれた環境です。
  • 学校で育成を目指す資質・能力を、「課題発見力」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性」、「自己肯定感」の4つに整理し、学校教育目標「夢と志をもってチャレンジするたくましい児童の育成」を目指し、学び合いを通した授業改善に取り組んでいます。

授業改善のアプローチ

  • 「自分の好きな本を紹介し合う」という単元のゴールイメージを児童と共有することで、見通しを持って学習に臨めるようにします。
  • 本文の好きな場面に印をつけ、好きな理由を書いた付箋を教科書に貼ることで、視覚的に確認しながら、相手に説明しやすくなるようにします。
  • 物語の展開に即して“チロ”の行動の変化を表す絵と児童が理由などを書いたホワイトボードとを並べて掲示することで、互いの考えを比べたり、多様な考えに触れたりしやすくなるようにします。
  • 多くの仲間と交流する場面を設定し、考えの似ているところに着目することで、認め合い、互いの思いを分かち合えるようにします。

単元づくりのポイント

目標

  • いろいろな物語を読んで、好きな人物を紹介する活動に意欲的に取り組もうとしている。
    【国語への関心・意欲・態度】
  • 物語を読んで好きな人物を見つけ、人物の好きなところをカードにまとめて伝え合うことができる。
    【読むこと オ】
  • 感想を伝える言葉にはさまざまなものがあることに気づくことができる。
    【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項イ(ウ)】

展開

おとうとねずみ チロ(全13時間扱い中第6時)

①単元のゴールイメージ「自分の好きな本を紹介し合う」を持ち、学習計画を立てる。(1)

②「おとうとねずみ チロ」を読み、初発の感想を伝え合う。(1)

③教材文の大体のあらすじをつかみ、好きなところを見つけながら読む。(3)

④好きな場面とその理由を紹介し合う。(1)本時

⑤「おとうとねずみ チロ」の大好きカードを作り、初発の感想と比べ、振り返る。(2)

⑥自分で選んだ本の大好きカードを作り、紹介し合う。(4)

⑦単元を振り返る。(1)

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

本文から一番好きなところを選び、好きな理由を付け加えて紹介し合うことができる。

授業場面より

  • ①大好きな場面を選び、理由を明らかにする

    大好きな場面を選び、理由を明らかにする画像

    本時、児童は、「おとうとねずみ チロ」を読んで捉えた一番好きな場面について、学級の仲間に説明します。
      児童は教科書の本文を音読し、前時に選んだ好きな場面と理由を確認していきます。想像を広げながら読めるように、教師は“チロ”の言動に着目し、自分の似たような経験を思い出すように働きかけます。
      児童は文章の内容と自分の経験とを結び付けて、一番好きな場面を選んでいきます。

  • ②ペアで理由を分かち合う

    ペアで理由を分かち合う画像

    一番好きな場面を示しながら、ペアで理由を説明し合います。机間指導で教師は児童の感じ方の違いを捉え、「同じ場面を選んでいたけど、少し理由が違うんだね」と価値付けていきます。相手と気持ちを共有することで、読みの輪を広げるためです。
      児童はペアを替えて交流を繰り返すことで、類似点や相違点に気付き、相手と気持ちを共有していきます。

  • ③全体で共有する

    全体で共有する画像

    教科書の叙述を全体で確認しながら、一番好きな場面と理由を発表し合います。
      教師は、物語の展開に即して“チロ”の行動の変化を表す絵と児童一人一人が理由を書いたホワイトボードとを場面ごとに整理し、可視化することで、個々の読みを全員で共有しやすくします。
      このことにより、児童は多様な感じ方があることに気付いていきます。

  • ④本時の学びを振り返る

    本時の学びを振り返る画像

    「一番好きな場面を紹介することができてうれしかった」、「もっとみんなの考えを聞きたかった」、「大好きカードを書くのが楽しみだ」などと児童は振り返ります。
      毎時間、振り返りを積み重ねることで、児童は学びの手応えを得ることにつながります。
      一番好きな場面とその理由を仲間と説明し合うことで、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読む児童の姿が見られました。

報告者:研修協力員  木野村