アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:廿日市市立四季が丘小学校
教科等:2年算数科(平成28年9月)
単元名:かくれた数はいくつ
図、文、式を関連付けて考える力を伸ばしたい
見通しを持つ
協働して課題解決する
知識や技能を活用する
実践の背景
- 実践校は団地内の全校児童約330名の小学校です。
- 学校で育成を目指す資質・能力を、「課題発見力」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性」、「自己肯定感」の4つに整理し、学校教育目標「夢と志をもってチャレンジするたくましい児童の育成」を目指し、学び合いを通した授業改善に取り組んでいます。
授業改善のアプローチ
- 本単元では、加法と減法の相互関係についての理解が深まるように単元を構成し、「図、文、式を関連付けて考える力」の育成を目指しています。
- 単元の前半では、減った数や増えた数を考える問題文を図に整理する場面を設定し、かいた図を比べます。後半では、一つの図から、残った数、減った数、はじめにあった数の3通りの問題を考える場面を設定し、つくった文を比べます。
- このように、単元の前半では「文から図」、後半では「図から文」を考えることで、文と図が関連し合っていることに着目できるようにします。さらに、文や図と式を比べることで、加法と減法が相互に関連し合っていることが捉えられるように単元を構成しています。
単元づくりのポイント
目標
- 加法と減法の相互関係に関心をもち、加法と減法の場面を式に表そうとしている。
【算数への関心・意欲・態度】 - 加法と減法の相互関係について、式を用いて説明することを、図を基に考えている。
【数学的な考え方】 - 加法と減法の相互関係を用いて、加法の式を減法の式に直したり、減法の式を加法の式に直したりすることができる。
【数量や図形についての技能】 - 加法と減法は互いに逆の関係になっているなど、加法と減法の相互関係について理解している。
【数量や図形についての知識・理解】
展開
かくれた数はいくつ(全5時間扱い中第5時)
- 1
- 減った数、増えた数を考える問題(2)
減った数(a-□=b)や増えた数(a+□=b)を考える問題について、テープ図をかいて比べ、図の似ているところを整理する。 - 2
- はじめの数を考える問題(2)
はじめの数(□+a=b、□-a=b)を考える問題について、テープ図をかいて比べ、図の似ているところを整理する。 - 3
- テープ図から問題文をつくる(1)
一つのテープ図から、残った数、減った数、はじめにあった数の3通りの問題を考える。つくった問題文を比べ、加法と減法が相互に関連し合っていることをまとめる。
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
テープ図をもとにして、たし算やひき算になる問題文をつくり、図と問題文を比べることで、加法と減法の関連をまとめることができる。
授業場面より
-
①見通しを持ち、図に合う問題文を作る
本時、児童は一つのテープ図から、残った数、減った数、はじめにあった数の3通りの問題を考えます。
教師は問いがない場面をテープ図で提示します。児童自らが問いを作る過程で、図の部分と全体に着目して考えるようにするためです。
どのような問題文が作れそうか、児童に問いかけると、児童は、図からはじめにあった数と減った数を読み取ります。図の□(分からない数)に着目し、既習事項である残った数を求める問題文が作れそうだという見通しを持ち、個の考えをノートにまとめます。 -
②図と文の関連をホワイトボードにまとめる
3人グループで互いの考えを出し合いながら、図に合う問題文を作ります。
このグループは問題文だけではなく、式に表して、図の場面を捉えていきます。式に表したよさを教師が価値付けることで、学級全体にも式に表してみようという意欲が広がり、他のグループも、図と文と式の関連を考えながら、ホワイトボードにまとめていきます。
全体で問題文を比べて考えることで、加法と減法の相互関係がとらえられるように、同じ図でもわからない数はグループごとに異なるようにしています。 -
③3通りの問題文を比べて考える
各グループで考えた、残った数、減った数、はじめにあった数を求める3通りの問題文を比べます。3通りの問題文を比べ、類似点と相違点に着目するように教師が促すことで、児童は一つのテープ図から、残った数、減った数、はじめにあった数を求めるという3通りの問題文ができることに気付きます。
例えば、はじめにあった数を求める問題文を考えたグループは、「残った数に食べた数を返すと考えるからたし算になる」と、図と問題文、演算を関連付けた説明をしました。
このように、図と問題文を関連付け、演算を決定し、計算で確かめることで、たし算・ひき算の関連を整理していきます。 -
④ たし算とひき算の関連について振り返る
本時の学びを振り返る場面です。
教師は、「3通りの問題文を比べて考え、気付いたこと、納得したこと」という視点を児童に示し、自らの学習活動を振り返るように働きかけます。
児童は、「テープ図だけで、□(分からない数)が分かれば、式も問題もできることに気付いて驚いた」、「□が何かと考えて、班のみんなで問題を作って計算すると答えも出ると分かった」と振り返るなど、図と文と式を関連付けて考えることを自覚している姿につながりました。
問題場面の具体的な数量を抽象化した図を「思考・表現の道具」として用いる有用性に気付き、問題を解決する際に考えを説明する力の育成につながっているとも捉えられます。
報告者:研修協力員 木野村