アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:大田区立調布大塚小学校
教科等:6年体育科(平成29年9月)
単元名:器械運動(マット運動)

自分の課題を見付け、運動の行い方を工夫し、仲間と共に解決していく力を育みたい

  • 見通しを持つ
  • 協働して課題解決する
  • 知識・技能を習得する

実践の背景

  • 実践校は、職層を越えて、日常的に学び合う時間を設け、指導力の向上に努めている学校です。経験豊かな教員が「研修で学んだこと」、「指導力の向上のために、伝達したいこと」を経験年数の浅い教員に伝えていくという形をとっています。
  • 校内研修の充実・改善に努め、「学習指導案を全員で検討し、一つの授業をつくっていく」という試みを校内研修に位置付け、授業をつくる力、子供の学びを見る力を育んでいる学校です。
  • 「考えや思いを自分の言葉でまとめる」、「相手に正確に考えを伝える」、「自分の考えと比べながら、相手の考えを聞く」、「話し合いを通して、自分の考えを深める」児童の育成を目指し、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を図っています。

授業改善のアプローチ

  • 単元のゴールに「検定」を位置付け、習得した技をグループで見合いながら、できたことを確かめ合い、出来栄えを実感し合えるようにしています。
  • 知識・技能が活用・発揮できるよう、習得した技が次時で活かせるような単元の配列をしています。
  • 一単位時間をグループで技を見合う「チャレンジタイム」→課題に応じた技に取り組む「ドリルタイム」→技が上達したかを確かめる「チェックタイム」で構成し、できたことが自覚化でき、次時への意欲付けを図っていけるようにしています。
  • デジタルカメラで技の動画を撮影し、それをもとにグループで教え合いながら、課題を発見できるようにしています。
  • 導入で、ポイントを踏まえた技とそうでない技を比べて、技のポイントを児童が発見できるようにしています。

単元づくりのポイント

目標

  • 自分の力に合った技に取り組み、その技が安定してできるようにする。
    【技能】
  • 互いに励まし合って協力して運動したり、器械・器具の使い方を工夫したりして、安全に運動ができるようにする。
    【態度】
  • 自分の課題を持って学習資料を活用し、技のポイントを身に付けるための練習の仕方を工夫できるようにする。
    【思考・判断】

展開

第1時 オリエンテーション

第2時~第4時
準備運動→チャレンジタイム→ドリルタイム→チェックタイム→整理運動→振り返り
(第2時 後転  第3時 開脚後転 第4時 倒立前転を行う)
*本時は第3時

第5時
準備運動→後転・開脚後転・倒立前転の中から技を選択し、練習を行う→整理運動→振り返り

第6時
準備運動→検定→整理運動→振り返り

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

技を習得するポイントを理解し、友達と見合いながら、開脚後転ができるようにする。

授業場面より

  • ①開脚後転のポイントは何だろう

    開脚後転のポイントは何だろう画像

    導入の場面です。①②教師は準備運動の中に、本時で行う開脚後転につながる動きを意図的に取り入れた運動を行いました。③また、開脚後転について、動画でポイントを踏まえた一連の動きととそうではないものの二つの動きをを比べ、開脚後転のポイントを見付けていきました。これにより児童は、二つの動きを見比べながら「よくないほうは足をすぐ開く。よい方は起き上がる直前で足を素早く開く」といった開脚後転を成功させるためのポイントを発見していくことができました。

  • ②動きを見直して課題を見付けよう

    動きを見直して課題を見付けよう画像

    グループごとに開脚後転に取り組む「チャレンジタイム」の時間です。教師は、デジタルカメラをグループにごとに用意し、自分たちの動きを撮影できるようにしました。また、ワークシートにポイントを図で示し、課題発見の手掛かりにできるようにしました。B児の動きを撮影した動画を見ながら、A児「起き上がるときに足が曲がってるんだよ」B児「本当だ」A児「そうならないように手でグッとマットを押してさ。そのために勢いつけなきゃだめか」B児「じゃあ、ドリルタイムでは坂道マットで練習するよ」と動きと動きを分割して考え、それぞれの課題を見付けていくことができました。

  • ③足がきれいに開けたよ!!できた

    足がきれいに開けたよ!!できた画像

    自分の課題に合わせて練習を行う「ドリルタイム」の時間です。教師は、児童が課題解決のための活動を選べるよう、①坂道マットなどの場を用意しました。児童は課題の解決方法を仲間と共有しながら、②「勢いを付けたら、足がきれいに開けた。できた。」と技能と技能を結び付け技を習得することができることに気付いていきました。その気付きをもとに何回も技に取り組み、技能を習得することにつなげていきました。

  • ④友達のアドバイスでできるようになった

    友達のアドバイスでできるようになった画像

    終末は「できるようになったこととその要因」、「今後取り組んでいきたいこと」を視点に振り返りを行いました。児童は、本時の学びを再度思い返します。①ある児童は「〇〇くんがマットを手で強く押すといいよとアドバイスをくれ、やってみたら膝を伸ばして足を振り上げることができた。」と成果を実感しました。②また、「次は、もっと手の付く強さを意識して、きれいに技を磨きたい」と次時以降に向けて、新たな課題を見付ける姿も見られました。

報告者:研修協力員  佐藤