アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:廿日市市立佐方小学校
教科等:4年算数科(平成29年6月)
単元名:小数

小数の大小関係を調べる過程で、既習の知識と結びつけ、概念を広げる力を育成したい

  • 見通しを持つ
  • 互いの考えを比較する
  • 知識や技能を概念化する

実践の背景

  • 実践校は周りを森にかこまれ自然に恵まれた閑静な環境にある全校児童約490名の小学校です。
  • 「夢や目標に向かって『元気・本気・根気』で自己と地域の未来を切り拓く児童の育成」を目指しています。
  • 学び合いのある学習指導を通して、個々の学びを共有し、自らの学びの理解を深めることで、児童の「主体的に学びに向かう力の涵養」、「思考力・表現力等の育成」、「知識・技能の習得」などにつながるようにしています。

授業改善のアプローチ

  • 小数の大小の考え方について、整数の大小の考え方、数直線や位取り表を使った考え方などの複数の考え方を比べることで、児童自らが見いだせるようにします。
  • 社会見学で訪れた施設と小学校との距離を比べることで、実感を持って小数の大小が理解できるようにします。
  • 既習の整数の大小や数直線などに関する数学的な気付きを単元の中で適宜取り上げ、価値付けることで、小数の大小を比べる際に活用できるようにします。

単元づくりのポイント

目標

  • 小数の意味と表し方、計算に関わる性質や関係を調べたり筋道を立てて考えたりすることの楽しさやよさに気付き、進んで生活や学習に活用しようとしている。
    【算数への関心・意欲・態度】
  • 整数及び1/10の位までの小数の仕組みや表し方、加減の計算方法をもとにして、1/100の位や1/1000の位までの小数についても見通しを持ち筋道を立てて考え表現したり、そのことから考えを深めたりすることができる。
    【数学的な考え方】
  • 小数の大小比較や小数の加法及び減法の計算ができる。
    【数量や図形についての技能】
  • 小数についての感覚を豊かにするとともに、十進位取り記数法、小数の意味と表し方、小数の加法及び減法の意味について理解する。
    【数量や図形についての知識・技能】

展開

小数(全9時間扱い中第6時)

①【小数の表し方】

0.1や0.01に満たない端数部分を新しい単位を用いて表す仕方について考える。(3時間)

②【小数のしくみ】

1、0.1、0.01、0.001の相互の関係や小数の加法的・乗法的構成について理解するとともに小数の大小比較ができる。(4時間)(本時)

③【小数のたし算・ひき算】

1/100の位までの小数のたし算・ひき算ができる。(2時間)

④【まとめと振り返り】

単元で学んだことをまとめ、振り返る。(1時間)

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

1/1000の位までの小数の大小関係を理解し、根拠を持って説明できる。

授業場面より

  • ①同じけたの小数の大小を確認する

    同じけたの小数の大小を確認する画像

    「社会見学で訪問した施設Aと施設Bは学校からどちらが遠いかな?」とけたの同じ小数の大小について、教師が児童に問いかけます。児童にとって身近な施設と学校との距離を示すことで、実感を持って小数の大小が考えられるようにします。
      児童は既習を生かし、まず整数部分、次に1/10の位の数というように、同じ位の数に着目して大小を比べていきます。

  • ②けたが違う小数の大小の比べ方を考える

    けたが違う小数の大小の比べ方を考える画像

    「施設AとCではどうかな?」、教師はけたの異なる2つの数を示します。約1/4の児童が小数部分のけた数が多い”施設Cが遠い”と判断しています。互いの判断が異なる理由を伝え合うという対話の必然性が生まれます。
      そこで、”けたの異なる小数の大小の比べ方を考え、考え方を説明する”ことを本時のめあてとし、そのように判断した理由を互いに共有しながら、課題を解決していきます。

  • ③小数の大小の考え方を比べる

    小数の大小の考え方を比べる画像

    「単位のkmをmに直して考えると、2280m>2267mだ」、単位を換算し、整数の大小に帰着させて考えた発言です。
      「数直線は右にある数が大きいから、2つの数を数直線に表し、右にある2.28のほうが大きい」、数直線の性質を使って考えたことを児童が説明します。
      小数の大小を整数の大小と関連付けたり、数直線の性質を使ったりするなどの既習を用いて考えたよさを教師は価値付けます。

  • ④共通点に着目し、考え方を整理する

    共通点に着目し、考え方を整理する画像

    「教師は児童に、3の場面で児童が見いだした考え方の共通点に着目して、小数の大小の考え方を整理するように問いかけます。
      児童は、「小数の大小も整数の大小と同じように考え、大きい位から順に比べる」などと整理し、まとめていきます。
      このように、小数の大小関係を調べる過程で、整数の大小の考えを根拠に、小数の大小の考えへと概念を広げていく姿が見られました。

報告者:研修協力員  木野村