アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:大田区立矢口小学校
教科等:2年図画工作(平成27年7月)
題材名:にじ色の生きもの
形や色のよさや美しさ、表したいことや表し方について考え、発想や構想する力を育みたい
見通しを持つ
多様な情報を収集する
新たなものを創り上げる
実践の背景
- 実践校は、教職経験の浅い教員が多いため、組織的に校内研修を行うことを通して、指導力の向上を図っていくことを重点に掲げ、日々授業改善を図っている学校です。
- 『自ら課題をつかむ授業』を通して、「課題を発見していく力」、「見通しを持って、自ら考えていくことができる力」、「学んだことを振り返ることができる力」の育成を目指しています。
授業改善のアプローチ
図鑑や資料から自分が描きたい生きものを選び、表したいことに合わせて材料や用具を使い、自分なりに表し方を工夫しながら、イメージを膨らませたり、変化させたりしながら創作していくことを通して、形や色のよさや美しさ、表したいことや表し方について考え、発想や構想する力を育みたいと考え、本単元を設定しました。本時の導入では「色の新たな使い方」に着目していくために、意図的に演示を行いました。色の質感の違いを実感的に理解できるよう、生きものを着色した描画材料と背景で使用する描画材料の種類を意図的に分けました。手や指先の感覚を使いながら、指先やティッシュペーパーといった材料を用い着色の仕方を工夫をすることで、色の表し方が広がり、児童の発想や構想が豊かに育まれていく授業を構築しました。
題材づくりのポイント
目標
- 表したい生きものを、色々な描画材料や色を工夫して表現する。
展開
「にじ色の生きもの」
- ①生きものを選ぶ
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- 図鑑や本から、表したい生きものに興味を持ち、描きたい生きものを決める。
- 表したい生きものの形を捉え、鉛筆でスケッチする。
- ②生きものの外枠をつくる
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- 鉛筆のスケッチをもとに、布ガムテープの太さや細さを考えながら、テープの線で表したい生きものを画用紙に描く。
- ③生きものを着色する
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- 絵の具、クレヨンを使い、塗り方を考えたり、組み合わせたりしながら生きものを着色する。
- クレヨン、チョークを使い、場所によって使う材料や塗り方を考えたり、組み合わせたりしながら、背景を着色する。(本時)
- ④できた作品を鑑賞する
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- 友達の作品を鑑賞し、工夫したところや自分の作品との違いをコメントする。
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
クレヨンやチョークの色の組み合わせを工夫して、背景を着色する。
授業場面より
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①教師の演示により、見通しをもつ
導入の場面です。教師は、型紙にクレヨンやチョークを塗り、それを指で擦ったり、伸ばしたりしながら新たな着色方法を演示します。また、ティッシュペーパーを使い、塗った所を擦ることで、色をぼかしていく方法も示しました。児童は、目の前で起こる事象に対し、「わあ。すごい」、「やってみたい」等とつぶやき、学習への関心意欲を自ら高めていきました。また、「指を使って、色を伸ばしてる」、「色がうすくなってる」といった色の様子や着色の仕方にも気付き、学習の見通しを自ら持つことができました。
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②背景を着色する
背景を着色する場面では、様々な型が作れるよう厚紙や何色ものチョーク、ティッシュペーパー等、児童が表し方を工夫できるための材料を用意しました。児童は、紙やはさみを使い、表したい形をイメージしながら、形を捉えていきました。手や指先の感覚を働かせ、色の濃さや薄さを出すために、クレヨンやチョークを指やティッシュペーパーを使いながら、擦ったり、伸ばしたりして、表し方を工夫しながら、想像力を働かせ、創作していきました。
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③交流を生かして、創作する
授業の途中に、互いの作品を見合い、自分の作品の参考にしていくために、自由に交流する時間を設定しました。作品の工夫しているところや真似してみたいところ等、交流の視点は児童の言葉から引き出しました。友達の話を聞き、友達のつくった形の面白さに気付いたこの児童は、直ちに自分の作品に取り入れていきます。そして、新たな発想を浮かべ、本時で習得した技能を活用しながら構想していきました。最後まで、粘り強く取り組み、自分なりの納得する作品を創り出すことで、作品の価値を見出していきました。
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④自己の学びについて振り返る
振り返りの場面です。教師は「友達の作品から気付いたこと」、「自分で作品をつくって新たに知ったこと」と他者や自己の作品の意味や価値を見出すために、振り返りの視点を定めました。
「Aちゃんが、チョークの色の上にまた、チョークの色を重ねていたのが面白かった」
「クレヨンやチョークで、こんなことができるなんて思いもよらなかった」と他者や自己の作品から色についてのよさ、表し方の工夫について振り返り、作品のよさを表現することができました。
報告者:研修協力員 佐藤