アクティブ・ラーニング授業実践事例

学校名:不二聖心女子学院中学校・高等学校
教科等:1年総合的な学習の時間(平成29年7月)
単元名:木工作品アイディアコンテスト~「森づくりと森に関する学習」より~

持続可能な社会のあり方について実感的に学んでほしい

  • 自分と結び付ける
  • 協働して課題解決する
  • 思考して問い続ける

実践の背景

  • 実践校は「魂を育てる・知性を磨く・実行力を養う」を教育方針とし、カトリックの精神に基づく全人教育を特徴とした中高6年間のゆとりある豊かな学びを実現しています。
  • また、教育方針と調和した形で、生徒が高校卒業時に身に付けてほしい資質・能力を「18歳のプロファイル」に描き、生徒もプロファイルの各項目から自らの成長を振り返っています。
  • ユネスコ憲章に示された理念を学校現場で実践する「ユネスコスクール」の一員として、ASP net(Associated Schools Project Network)に加盟しています。これは、21万坪の自然を活用した「環境教育」、海外体験学習を中心とした多彩な「国際理解教育」、実践校の伝統である「奉仕教育」の実践が、ユネスコの提唱する「持続可能な開発のための教育(Education For Sustainnable Development: ESD)」の概念に沿っていると認められたことによります。
  • 「環境教育」については、1年時の総合的な学習で「森づくりと森に関する学習」を通して、持続可能な社会のあり方を探究しています。NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の指導による「植林体験」「間伐材を用いたベンチ作り」、矢作川水系森林ボランティア協議会の指導による「森の健康診断」「間伐体験学習」など、広大な学校林を生かした環境教育が行われています。

授業改善のアプローチ

  • 生徒が主体的に学ぶ場面を設定する
    ESDは、持続可能な社会の構築に資する知識・技能の習得に加えて、現代社会の課題を自らのものとして捉える能力や態度が重要であるとの認識のもと、一年間の学びのプロセスの中に、生徒が自ら課題を設定し、協働的に解決する場面が設定されています。
  • 教師がトランスレーターとファシリテーターの役割を担う
    ゲストティーチャー(NPO法人等)と生徒が関わる場面では、教師はゲストティーチャーの専門的な説明を分かりやすく言い換えて生徒に伝えたり、ゲストティーチャーと生徒の間で主体的な学びを促す役割を担ったりして、生徒が主体的に学べるように配慮しています。
  • 企業とのCSR活動と連携する
    近年、CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)活動の一環として、教育機関との連携を行う企業が増えています。実践校でも、ESDに関するテーマでの出前授業を企画し、未来を見据えて環境問題に取り組んでいく大切さなどを学ぶ機会を作っています。

単元づくりのポイント

目標

学校林の植栽計画を立てて実際に植栽したり、「森の健康診断」をしたりして、間伐の必要性を実感的に学んできた生徒が、間伐材の需要を高める一助とするための木工作品のアイディアを考えて、NPO法人「土に還る木 森づくりの会」にプレゼンテーションすることを通して、以下の資質・能力を身に付ける。
1(魂を育てる)生命の大切さを理解するとともに、自然界の美しさに気付き味わう感受性を育む。
2(知性を磨く)習得した知識や技能を他の事柄に応用することができる。
3(実行力を養う)自ら考え行動する力を育む。

展開

  • 前単元までの様子
    ・生徒は、地球温暖化防止のために適正な間伐の必要性を学んできた。
  • 本単元「木工作品アイディアコンテスト」の展開
    間伐材の需要を高める一助とするための木工作品をデザインし、NPO法人「土に還る木・森づくりの会(以下、森づくりの会と略。木工作品を製作してくださる方々)に提案する。
    第1回:アイディアスケッチ(木工作品の構想、アイディアスケッチの完成等)
             ・間伐材の需要を高める一助となるような実用性のあるデザインをグループで考える。
    第2回:プレゼンテーションの準備(原稿の作成、役割の分担、スピーチの練習等)
             ・制限時間内にアピールできるように、プレゼンテーションの準備や練習をする。
    第3回:アイディアコンテスト(プレゼンテーション・質疑応答・発表等)【本時】
             ・「森づくりの会」の皆さんにプレゼンテーションし、最優秀作品を決定してもらう。

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善

本時のねらい

木工作品のアイディアをプレゼンテーションする場面で、「森づくりの会」の皆さんからの質問に対して答えたり、不十分な点などを仲間と考え直したりすることを通して、アイディアの実現可能性を深く考えるとともに、廃棄される運命にあった間伐材が実用性を伴って生まれ変わることに期待感を高めることができる。

授業場面より

  • ①私たちのアイディア、聞いてください!

    私たちのアイディア、聞いてください!画像

    「森の健康診断」などの体験を通して間伐の必要性を学んできた生徒。本時は間伐材を使った木工作品のアイディアを「森づくりの会」の皆さんにプレゼンテーションする時間です。生徒は「森づくりの会」の方々に、自分たちの作品は間伐材という素材の価値を生かしていることや商品としての実用性に優れていることなどをアピールしました(スクリーンにアイディアスケッチを提示)。

  • ②このアイディア、本当に実現するのかな?

    このアイディア、本当に実現するのかな?画像

    次は「森づくりの会」の皆さんからの質問に答えます。実際の製品化に至るためにはアイディアの実現可能性が問われます。生徒はサイズの詳細などの質問に対して、グループの仲間と相談しながら説明を重ねました。このことにより、アイディアの製品化が間伐材の需要が高めることにつながるのかを仲間とともに考え直す姿が見られました。

  • ③私たちの学びにはこんな価値があるんだ

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    「森づくりの会」の皆さんが別室で審査を始めました。教師はこの時間を利用して1本の動画(卒業生による取材・編集)を流しました。そこには、本校卒業後も森づくりの意味を探求し続ける先輩の姿とともに、「森の健康診断」に取り組む自分たちの姿も映し出されました。4月から学んできた森づくりの意味を自分に結び付けて問い直すことのできる機会となりました。

  • ④こんなに素敵な作品になったよ!

    こんなに素敵な作品になったよ!画像

    「森づくりの会」の皆さんからの講評と最優秀作品の発表を聞きました。この場では1作品のみが発表されたのですが、後日「森づくりの会」の皆さんの手によって、すべてのアイディアが試作品として製品化されました。生徒はアイディアが形になって大喜びです。そんな喜びを感じつつ、さらに間伐材生まれの商品価値を高めようと「森づくりの会」の皆さんと対話を重ねていきました。

報告者:研修協力員  谷内

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