アクティブ・ラーニング授業実践事例
学校名:安曇野市立三郷中学校
教科等:3年外国語科(平成29年6月)
単元名:presentation 1 「日本文化紹介」
既習内容を活用して考えを形成する学びを実現したい
興味や関心を高める
共に考えを創り上げる
知識・技能を活用する
実践の背景
- 学校教育目標「豊かな心を持ち、辛抱強く自分を鍛え、自ら学ぶ生徒になろう」の具現を図るため、「生徒も教師も成長し合える学校」を目指して授業改善を積み重ねています。
- 生徒同士が聴き合える雰囲気の形成、グループ学習において対話の目的を明確にすること、個人・グループ・全体の各学習場面における教師の役割を重点に据え研究を深めています。
- 全教員が授業公開をするとともに、全教員による授業研究会を公開する「自主公開研究会」を1学期の早い段階で開くことで、授業改善のためのPDCAサイクルを有機的に回しています。
- 同じ校区の小学校との合同研究会(授業公開を含む)を開くなど、地域の子供たちの育ちを同じ目線で見つめ、小学校6年間、中学校3年間の学びをつなげています。
授業改善のアプローチ
- 本単元は「Unit0」「Unit1」「Daily Scene1」までに習得した知識や技能を活用する場面として位置付いています。「Unit1」では受動態と使役動詞makeを新たに習得し、生徒は「~される」や「~にする」という表現を用いながら身のまわりの「ひと」や「もの」を客観的に説明することが求められます。そこで、実際に日本文化を紹介する相手をALTと設定することで、対話の必然性が生まれるようにしました。
- 対話の必然性がある中で、習得した受動態等を活用しスピーチ原稿を書いたり実際に伝えたりすることは、目的・場面・状況等に応じて、情報や自分の考えなどを形成するという外国語科ならではの見方・考え方を働かせることにつながります。
- 本時では、グループ学習において「『着物』と『アロハシャツ』のつながりやその英語表現について確かめ合う」という対話の目的を明確にしました。前時に紹介した「『湯のみ』を紹介するモデル文」を参考としながら、4人グループで対話を重ね、「着物」が世界に広がっている日本文化の一つであることに着目した原稿を書くことができるように工夫しました。
- また、「ALTの先生に着物を紹介するスピーチ原稿を書こう」というToday's Goalを設定し、受動態等の既習事項を振り返りながらスピーチ原稿の前半部を完成させることにしました。さらに「『着物』に対する自分の考えを加えてスピーチ原稿の後半部を完成させること」を促し、「お助けシート(使える表現例)」を提示し活用できるように配慮しました。
単元づくりのポイント
目標
- 「着物」と「アロハシャツ」のつながりについて、スピーチの構成を意識して発表したり、発表を聞いて積極的に質問したり意見を述べたりしている。
【コミュニケーションへの関心・意欲・態度】 - 「着物」と「アロハシャツ」のつながりやその英語表現について確かめ、「着物」が世界に広がっている日本文化の一つであることを書いて発表することができる。
【外国語表現の能力】 - 日本文化についての友達の発表を聞いて、概要や要点を聞き取ることができる。また、世界の国の文化についてのスピーチ原稿を読んで、その内容を理解することができる。
【外国語理解の能力】 - 日本文化を紹介するスピーチの構成に関する知識を身に付けている。また、受け身の形・意味・用法に関する知識を身に付けている。
【言語や文化についての知識・理解】
展開
- 第1時
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「湯のみ」を紹介するスピーチ原稿を読もう!
- 第2時
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ALTの先生に「着物」を紹介するスピーチ原稿を書こう!①(本時)
- 第3時
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ALTの先生に「着物」を紹介するスピーチ原稿を書こう!②
- 第4時
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「日本文化」を発表しよう!
「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善
本時のねらい
受動態を用いて日本文化を紹介する方法を学んだ生徒が、ALTの先生に「着物」を紹介する英文のスピーチ原稿を書く場面で、読み取った本文や前時に学習した「湯のみ」を紹介するモデル文を参考に、4人グループで、「着物」と「アロハシャツ」のつながりやその英語表現について確かめ合いながら追究することを通して、「着物」が世界に広がっている日本文化の一つであることに着目した原稿を書くことができる。
授業場面より
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①日本文化のクイズに答えよう!
授業の開始時の挨拶が終わった後、起立した状態の生徒に教師は英語で日本文化のクイズを出しました。英語での質問を聞き取り、答えられる生徒が挙手をします。「ORIGAMI」「ONIGIRI」などが出題されましたが、正答した生徒は自分の座席ブロックともう一つのブロックを着席させる権利を得ます。ゲーム的な要素に興味が高まる一方で、本単元の話題である日本文化についても関心を高めていく姿が見られました。
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②これは受動態を使うんじゃないかな?
ALTの先生に「着物」を紹介するスピーチ原稿の前半部を考える場面です。教師が配布したプリントの前半部は既習事項である受動態などを空欄で埋められるように作成されています(They're [ ? ] on a happy day such as a wedding.)。4人グループになった生徒は、「『着る』だよね」「wearかな?」「受け身じゃない?」「どうして?」など、些細な疑問を自然に交わし合える対話を通して、仲間とともに解決に向かいました。
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③どうやって紹介すればいいかな?
教師が作成したプリントの前半部は「I'll tell you about it.」という言葉で締めくくられています。教師は「この後、『着物』の何について書けばよいでしょうか」と問いかけました。生徒から「魅力」「利点」「使い方」などのポイントが出されたところで、教師は、再び4人グループになるように促し、生徒は相談しながらスピーチ原稿を書き始めました。日本文化とは言え着物に馴染みの少ない生徒も多いため、互いに情報を伝え合いながら考えをまとめることができました。
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④もっと伝わるように書いてみたい!
グループごとに作成したスピーチ原稿を全体で共有する場面です。教師は一つのグループに発表を促しました。苦労していたグループは、仲間が発表する英文を聞き取りながら、自分のグループの原稿と比べて不足している情報などを補っていました。本時のように既習事項を活用して表現する機会は、理解が不足している部分が明確になります。些細な疑問を伝え合えるグループ学習を取り入れたことにより、次時への課題が一層明確になりました。
報告者:研修協力員 谷内