NITSインタビュー ~学びのスパイス~

第3回 NITSで働く人たち
―全国の教育委員会からの人事交流者 part2[前編]

独立行政法人教職員支援機構(以下、NITS)では、役職員や教育関係者へのインタビューを通して、教育に関わる知見を広く提供するとともに、より多くの教職員や教職員を目指すみなさんに、NITSについて知り、関心を持っていただくことで、日々のちょっとしたスパイスになればとの想いから、「NITSインタビュー ~学びのスパイス~」を行っています。

最近、日本全国でイベントを開催していて、「どうしたらNITSで働けますか?」「NITSってどんな組織なんですか?」というご質問をいただく機会が増えてきました。そこで第3回は、NITSはどんな人が働いているどんな組織なのかをご紹介すべく、「NITSで働く人たち」と題し、NITSで研修づくりの中核を担う全国の教育委員会からの人事交流者の方々5人にお話を聞きました。Part2の今回は2人の座談会形式で、前・後編の2回に分けてお届けします。今回はその前編です。

今回のインタビュー対象

  • 飯干 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    連携推進課

  • 澤田 専門職員

    教職員の学び協働開発部
    研修推進課

――まず自己紹介と好きな色を教えてください。

飯干

広島県の小学校教員です。小学校で14年間勤めて、広島県教育委員会の義務教育指導課で2年間勤めたのち、令和5年度からNITSに来ました。好きな色は緑です。幼い時にタンスの一番上からこだわらず緑色の服を着ていたので、親から「昔から緑が好きだったよね」と言われ続けて、そう思い込んでいるだけなのかもしれません。逆に好きじゃないのは赤。初任の時に父親がなぜか赤いネクタイを買ってくれたんですが、好きじゃないので着けていませんでした(笑)。

澤田

千葉県の小学校教員です。小学校で12年間勤めて、千葉県総合教育センターで2年間勤めたのち、令和6年度からNITSに来ました。なんだか経歴が似ていますね。自分は紫色が好きです。理由は、単純にかっこいい色だと思うからです。何か特別なきっかけがあるわけではないですが、小さいころから折り紙は紫色を使っていましたね。あと、幼い頃から忍者が好きで、紫の忍び装束が好きでした。高校生の時に初めて買ったネクタイの色も紫です。

――NITSに来ることが決まった時のこと、覚えていますか?

澤田

「教職員支援機構」という名称にはピンとこなかったのですが、NITSという名称は聞いたことがありました。どんなことをやっている組織なのかは知らなかったですが。

飯干

NITSは「研修をやるところ」というイメージでした。正直、自分は教師教育よりも授業づくりが得意だと思っていたので、「自分をそこに行かせるなんてもったいないな」と思っていました(笑)。少し大げさに言いましたが、それだけ研修に対する意欲は高くなかったというのが事実だと思います。

澤田

ウェブサイトを調べても、正直どんなところかよく分かりませんでした。前任に連絡をとっても、「何とかなる」の一言で(笑)。

――実際に着任してみて、いかがでしたか?

澤田

そんなこんなで不安でしたが、NITSに来て最初の4月はそれほど忙しくなかったので、その1か月でNITSのことをなんとなく理解することができたように思います。5月からは職員同士、体育館でバドミントンをして仲良くなり、本格的に研修が始まる6月頃からは職場に慣れることができました。職員の皆さんがあたたかくて、入りやすかったのを覚えています。

飯干

自分は最初「研修開発係」というところに入ったのですが、ほとんどが新しく着任した人ばかりでした。ただ、前年度から在席していた「研修頑張るぞ」モードに入っている職員と、そのモードに入っていない自分とでは温度差があり、自分のアイデンティティを形成するのに時間がかかりましたね。

澤田

自分も、それまで教育センターに在籍していながら研修そのものを担当する部署にいなかったこともあり、研修に対する熱量を高くは持てていませんでした。その後、NITSマネプロ(NITS研修マネジメント力協働開発プログラム:「新たな教職員研修」の協働開発に向けて、職員が対話・協働しながら探究を行う対話を中心とした活動の場)に参加して、「思ったことをバンバン言っていいところなんだな」と思いました。

飯干

県に所属していた頃は、「県としてどうか」を大事にしていました。NITSの枠組みも踏まえたうえで、「自分はどうか」を出せるのはNITSならではだと思います。

澤田

「NITSの方針に沿っていないことは言っちゃダメ」という雰囲気はない気がします。誰でも思ったことが言えるのはいいですよね。この雰囲気は、職員みんなが「楽しく働きたい」と思っているからこそ醸成されるものではないかと思います。

飯干

自分が教育委員会にいた頃、大多数の意見に従いがちなところはありました。その分社会的意義であるとか、その事業の意図などはよく意識していたと思います。半面NITSでは自分らしさを前面に出せるため、別の恐れも生まれました。

NITSで恐れていたのは、自身の思いを通していくあまり、研修を個人でデザインしようとしてしまうことです。教員の頃は、基本個人でやらなければいけなかったので、その頃の習慣なのかもしれません。そのため、研修では、スタッフや参加者など、周りの意見を意識的に聴くように心がけていました。それでも聴いた結果、自分の思いに重点をおいてデザインすることもありますが(笑)。

セミナーを運営する飯干専門職員

澤田

確かに学校では、単元の始まりなど区切りのあるところでは他の先生と意見交換をすることもありましたが、始まれば基本的には個人で進めていました。

飯干

自分の所属校が単学級だったこともあり、自分のやり方しか分からず、それが合っているのかどうかも分からない状況でした。

――NITSに来て、他の人と積極的に意見を交わすようになって、よかったことはありますか?

飯干

自分は、理論的枠組みを勉強することが苦手で、研修はあまり好きではありませんでした。でも、NITSで頑張っている人たちを見ていくうちに、だんだんと自分も頑張ってもいいかなという気持ちになっていきました。自分らしくできる場であることも大きかったかもしれません。研修をつくっていって、自分の癖が強く出そうなとき、周囲も意見をしてくれて、自分自身の囚われに気付きながら進めていけました。初めは研修があまり好きではありませんでしたが、NITSで研修をつくることで、研修をつくるアイデンティティが深まってきたように思います。

澤田

自分も黙々と一人で行う個人作業が好きでした。それだけではいけないということは教員時代から思ってはいましたが、癖になっていたところがありました。NITSに来て、業務をあれこれ進める中で、自分一人だと抜けてしまうことがありますが、周りがサポートしてくれるんですよね。チームでやることの大切さにあらためて気付けたように思います。

飯干

一つの研修だけを担当しているわけではなくマルチタスクで進めなければいけないので、個人作業だとパンクして忘れてしまうんです。

澤田

NITSに来て、みんなで一緒につくる楽しさを感じられるようになりました。それまでは、研修の決められた枠があって、どこにどの講師へ依頼するかということを一人で考えていたので……もちろん同じ部署の人はいましたが、一緒につくる感覚はありませんでした。NITSではそういう枠があまりなくて、一から、みんなでああだこうだ言いながら考えていくのが面白いです。研修をつくるのって楽しいなと思っています。

――なんで楽しいんですかね?

澤田

NITSでは「これを必ず組み込まなければならない」というものがなく、自分の裁量が大きいからですかね。最初は、自分は主担当ではなく副担当で、好き勝手にいろいろ言えたから楽しかったのかもしれません(笑)。