共生社会を実現する教育研究セミナー(2) 12月10日

2月9日から11日までの3日間、「共生社会を実現する教育研究セミナー(2)-支援が必要な児童生徒との共生-」を開催しています。 2日目の本日は、東京都江東区立豊洲北小学校の喜多好一校長による「実践から学ぶ合理的配慮の在り方」、東京都自閉症協会の綿貫愛子臨床心理士による「当事者から学ぶ特別支援教育」、特別支援教育総合研究所の齊藤由美子総括研究員による「共生社会の実現を目指して~よりよい交流および共同学習を進めるために~」の講義・協議をおこないました。 受講者に感想を伺いました。 -実践事例がわかりやすかった 喜多先生の講義では、数多くの実践事例をご紹介くださり、大変参考になりました。子どもの実態に合わせた工夫や修正は必要ですが、少なくとも今回ご紹介いただいた事例の中には、たくさんのヒントがありました。中でも、「お守りカード」というのは私にはなかった発想でした。“様々な出来事に緊張しやすく、まじめで完璧主義であるあまり、イライラして落ち着きがない子”が、自分の気持ちを切り替えるために、自分の言葉やイラストでつくったカードをお守りとして持ち歩くというものです。自分でつくれば愛着もわくでしょうし、成功体験につながれば自分をコントロールしやすくなると思います。 -“本人にとってどうなのか“を考えてみる 特別な支援を必要としている子どもへの支援であるはずが、「周囲の子どもたちに迷惑をかけないために」「将来、周囲の大人たちに迷惑をかけないために」という視点になってはいないか、もう一度考えてみる必要があると感じました。教育者や保護者のそのような願いはもちろんあるとは思いますが、本人がなにを望んでいるのかも、支援の方向性を決める上で重要なことです。もしかすると、本人が将来就きたいと思っている職業が、特性的に難しいということもあるかもしれません。その際は教育者として、別の職業を提案することもあるかもしれませんが、そこで本人が心の折り合いをつけることになるとしたら、そのプロセスにも寄り添える教師でありたいと思いました。 -こだわりを「なくす」のではなく、むしろ「増やす」という考え方 自閉症スペクトラムの特性として、こだわりが強いことが挙げられます。このこだわりについて、「あると困るからなるべく減らそう」という考え方ではなく、「むしろこだわりを増やすことで、できることを増やそう」という考え方もあるということに気づきました。偏食が例として挙がっていましたが、「白米しか食べられないのであれば、いろんな産地・品種のお米を食べてみよう」と考えるということです。もしかしたらそこから味の違いを楽しむことができるようになるかもしれませんし、食自体にも興味が広がるかもしれません。こんな考え方があるのかと驚きました。減らそう・なくそうだけが教育ではないですよね。