中堅教員研修 7月29日

本日は、愛媛大学の平松義樹名誉教授による講義・演習「生徒指導の推進」と、新潟大学の長澤正樹教授による講義・演習「インクルーシブ教育の推進」を行いました。 受講者に感想を伺いました。 ー「不適切」という曖昧な課題 マルトリートメント(maltreatment)という言葉を初めて耳にしました。mal(悪い)とtreatment(扱い)を組み合わせた単語で、「不適切な養育」と訳されるそうです。子どものこころや身体の健全な成長・発達を阻む養育をすべて含んだ呼称のため虐待もここに含まれますが、「虐待ではないけど不適切」も、ここには含まれています。先日教育法規の講義でも、「違法ではないけど不適切」というお話があり、それと似ているなと感じました。今の教育は、黒だけでなく、グレーゾーンのことも考えていかなければならないということだと思っています。「明らかに虐待」「明らかに違法」ではないこの「不適切」なケースの判断が非常に難しく、慎重に扱わなければならず、教師にとっては苦しい課題ですが、子どもの自尊心を守るために、このグレーゾーンから目を背けない教師でありたいです。 ー組織で子どもを支える体制を 通常の学級で特別な教育をするためには、 ① 全員が対象となる「共通する対応」 ② ①で結果を出せなかった児童生徒のための「きめ細かな対応」 ③ ②で結果を出せなかった「専門的対応」 の3つの段階があることを学びました。 ①では遅れを取ってしまう子どもたちがいるのは把握していますが、その子たちが②で十分なのか、③が必要なのか…私は学級担任として、子どもたち一人ひとりの見取りが不十分だったなと感じます。支援の必要な子どもたちがのびのびと学べる環境づくりをするために、まずは子どもたち一人ひとりの実態を明らかにしなければならないと感じました。また、明らかにすることも、明らかにしたあとの支援も、私一人ではすべてをこなすことはできません。組織として対応していくために、まずは大勢の教員それぞれが何をしているのか、どの時間にどの教員の手が空いているのかなどを把握し、複数の教員で複数の子どもたちと関わっていく必要があると思います。 ー子どもを「みる」ということ 思い込みで子どもを見てしまうと、本当の意味で子どもを見ることができないのだと感じました。子どもが「さみしい」「つらい」と発したとしても、その子の気質やその時の口調、様子などから、「かまってほしいんだな」「きっと今回も大した理由がないだろうな」と勝手に解釈している部分がありました。もちろん普段おとなしい子が突然泣きながら「さみしい」と言ってきたら誰だって一大事だと感じますが、普段から「そういう子」として見られてしまっている子どもをどう「みる」か、ということです。今回の講義で実例としてご紹介いただいたように、「そういう子だから仕方ない」と思われていた子も、家庭環境や背景を調べてみると、数年前とは全くの別人のような変わり様だったりすることがあり、重大な要因に気づくこともあるのだと思います。その時教員が気づいて対処ができるかどうかで、その子の人生は大きく変わるのだと再確認できました。クラス全体を広い視野で見ることだけがよいのではありません。教師の見方によって子どもは良くも悪くも変わるのだという意識をもって、一人ひとり、子どもとの接し方を変えていける教員でありたいです。