道徳教育指導者養成研修 2日目

「道徳教育指導者養成研修」2日目の本日は、まず帝京大学大学院の赤堀博行教授による講義「心を育てる道徳教育の具体的展開」を行いました。 次に小学校、中学校、高等学校における道徳教育の実践の事例発表と、文部科学省初等中等教育局教育課程課の教科調査官による講評を行いました。 本日の感想を、受講者の皆さんに伺いました。 -『繋がり』を意識して道徳教育を構築する 「私は小中学校の担当をしていますが、今日の事例発表の中では、三重県立桑名北高等学校の事例発表が印象的でした。 そもそも高校の実践事例を聞く機会が現在の立場では少ないこともありますが、高校の中で道徳教育を完結させるのではなく、キャリア教育と連携して道徳教育を行うなど、生徒達の『その後』を考えた指導をしているところが大変参考になりました。 今の学びが生徒達の周囲の環境や将来にどう繋がっていくのか、『繋がり』を意識して道徳教育を構築することの大切さを実感しています。 小中学校でも、小中の連携や地域との連携など、学校内だけで完結せずに連携していくことが大切だと思います。 自分の地域でも、道徳教育の在り方をもう一度見直していきたいです。」 -学校全体で道徳教育に取り組む 「中学校の事例発表で、道徳教育全体計画の別葉(※)の活用の仕方が参考になりました。別葉に授業を行った日付を書き込んでいくことで、どの授業、どの内容項目をいつ行ったかを、皆が共有できるようになります。 事例の中では全学年がこの作業をしっかりと行っていて、学校全体の道徳教育の現状がわかるようになっていました。 また、空いている時間には他の学年、担当外の教員も書き込まれた別葉を見るようにしており、日常的に道徳教育の様子をそれぞれの教員が把握しようとする環境になっていることも、大変素晴らしいと思いました。 自分の学校でもぜひ実践をしてみたいと思いますが、そのためには、まず道徳教育について学校全体で理解することが大前提です。組織全体で取り組めるよう、道徳教育について改めて教職員一人一人に伝えるところから始めていきたいです。」 ※別葉…学校教育全体を通じて行う道徳教育のうち、全体計画に示し切れない内容について、全体計画とは別に作成して示したもの -事例発表の取組を、自校でできる形に落とし込んで実践したい 「高等学校の取組の中で、保育園とのペア交流という取組が紹介されました。高校生が園児と1対1のペアを作って交流する中で、声掛けの仕方や相手を待つ姿勢、泣いている子どもに対しての対応などを体験的に学び、考えることができるというものでした。 この取組では、自分が子どもに必要とされていると感じることができ、自己肯定感の育成につながります。また、自立心やコミュニケーション力、互いに尊重する姿勢なども育むことができます。 保育園にとっても、様々な交流体験による保育の充実が図られます。地域にとっても、次世代の親の育成や児童虐待の防止などの効果があり、それぞれが連携をして、一貫した道徳の授業作りをしているのは、とても良い取組だと思いました。 この取組を参考に、例えば小学校の1年生と6年生のペア交流、という形に置き換えるなど、自分の学校の形に落とし込んで、ぜひ実践してみたいです。」 -普段の取組の中で、できることから実践していきたい 「児童に道徳の各内容項目に関する意識調査を行い、児童の実態に合わせた目標を具体的に立てている事例がありました。根拠に基づいた具体的な目標を定めることで、学校の実態にあった道徳教育を作る第一歩になると思います。 目の前にいる生徒の実態に基づいた課題や目標であると教職員が意識すれば、道徳教育への取り組み方も変わってくるのではないかと思います。自校の道徳教育の目標を設定するときには、なぜその目標が自校の生徒に必要なのか、実感を持って教職員や生徒、地域の方々に伝えることができるようにする必要があると感じました。 また、校内の掲示物の活用方法についても参考になりました。教職員全体、学校全体で道徳教育への意識を統一するには、掲示物などの目に見える形がとても効果的です。内容を可視化することで、教員同士も協力しやすくなり、生徒も日頃から道徳への意識を持つことができます。 一つ一つは小さな取組であっても、積み重ねて環境作りをすることで、学校全体の道徳教育への意識が向上していくということがわかりました。勤務校に戻ったら、マーカーの色使いの工夫や、学級便り等に道徳性の育成を意識した内容を盛り込むなど、普段の取組の中で、できることから実践していきたいと思いました。」 明日からは、校種別の部会に分かれて、指導案の作成や模擬授業、全体計画の検討等、より実践を意識した協議・演習を行います。