NITSニュース第63号 平成30年10月19日

学校における食育の推進

文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 学校給食調査官 齊藤るみ

平成17年6月に食育基本法が制定され、国民運動として食育が推進されてきました。

学校における食育の推進については、平成17年4月に栄養教諭制度が開始され、食育の中心的な役割を担う栄養教諭の配置が進んできました。現在、6,092名の栄養教諭が配置されています(平成29年:学校基本調査)。

学校における食育は、学校給食の時間や各教科等など教育活動全体を通じて行うことが必要です。そのためには、各学校において、推進体制を整備し、食に関する指導の全体計画を作成して、全教職員が共通理解のもと、計画的に、食に関する指導を進めていくことが大切です。その際、栄養教諭が中核となり、全教職員が連携しながら、それぞれの立場で取り組むことが必要です。

食に関する指導は、給食の時間における食に関する指導や教科等における食に関する指導などにより行います。給食の時間における食に関する指導では、給食の準備から片付けまでの一連の指導の中で、正しい手洗い、配膳方法、食器の並べ方、はしの使い方、食事のマナーなどを習得させる「給食指導」と、献立を通して、食品の産地や栄養的な特徴を学習させたり、教科等で取り上げられた食品や学習したことを学校給食を通して確認させたりする「食に関する指導」を行うことができます。年間約190回の給食の時間を計画的、継続的な指導を行うことで、多くの指導機会を確保することができ、極めて大きな教育効果を見込むことができます。教科等における食に関する指導では、専門性を有する栄養教諭が授業に参画することにより、目標や内容、教材や題材、学習活動など様々な面で食に関する指導と関連付けて指導することができます。その際、教科等にはそれぞれ固有の目標や内容があり、児童生徒に当該教科等の目標や内容を身に付けさせることを第一義的に考え、その過程で「食育の視点」を位置付け指導することが大切です。また、教科で学んだことを他教科で活用したり、給食の時間の指導で関連させたり、教科等横断的に食に関する指導に取り組む視点も重要です。栄養教諭がコーディネートしていくことも期待されます。

栄養教諭は、「児童生徒の栄養の指導及び管理をつかさどる」教師とし、その専門性を生かし、食に関する指導における全体計画作成や実践等で中心的な役割を果たすとともに、学校給食の栄養管理や衛生管理等の管理を行い、教職員間及び家庭や地域との連携・調整で要となることが求められています。特に、管理栄養士又は栄養士免許を有しており、学校給食の献立を作成していることや栄養管理を行っていることなどの専門性を生かし、食に関する指導を行うことも大切です。

栄養管理や衛生管理についても、学校における食育に位置付け、全教職員が理解し、連携して取り組むことも必要です。衛生管理が徹底され、栄養バランスのとれた美味しい給食を提供することで、食に関する指導の教材として活用することができます。

食に関することは、人間が生きていく上での基本的な営みの一つであり、生涯にわたって健康な生活を送るため子供たちに健全な食習慣を身に付けさることが重要です。学校給食を活用しながら、各学校において食育が推進されることを期待しています。