NITSニュース第24号 平成29年12月1日

学校全体で取り組む体力向上に関するマネジメントの在り方

日本女子体育大学 特任教授 畑攻

教育の世界においては、今まさに「マネジメントブーム」なのでしょうか。単なるコトバとしてではなく、新たな構想や様々な取組のためには従来以上に、よりグローバルな視点や、よりダイナミックなスタンスの必要性が意識されはじめたからでしょう。

子供たちの体力向上においても、授業をはじめとする様々な教育プログラムの充実改善に加えて、より実践的な学びやより広範な場での学びが意識され始めています。このテーマに対しては、日常の子供たちを取り巻く「三間(時間、空間、仲間)がない」という現代の環境を単に嘆くだけではなく、そのような状況におけるより効果的な対応こそが求められているのです。

このテーマに対する典型的なマネジメントの対応には、基本的に学習指導要領等の「政策との整合性(政策論)」、各学校が有する「資源の合理的な活用(資源論)」、学校の「プロフェッショナルとしての専門性の結集と動機付け(組織論)」、「状況に応じた効果的な取組の企画と展開(マーケティング論)」のそれぞれを踏まえて、全体の統合化・適合化を図ることが必要になります。日常の一つ一つの業務を確実に遂行していくことは、教育現場においても基本なのですが、その一方で「子供の体力向上」という大きなテーマに対しては、前述の4視点を俯瞰するスタンスも不可欠となります。全体を俯瞰して、バランスさせることこそがスタートラインであるといえましょう。各学校の「プロフェッショナル」に大きな期待が寄せられているのです。

なおこれまでの研修会等において、用いました資料とともに、お話しをさせていただいた内容をわかりやすく一冊にまとめさせていただきましたので、ご笑読いただければ幸いです。「基本・スポーツマネジメント」(大修館書店)です。