NITSニュース第18号 平成29年10月20日

「コーチング」の基本を学ぶ

東京聖栄大学 教授 有村久春

コーチング(Coaching)は、人の行動や学習の支援を行い、個人の成長や発達を促すことです。換言すれば、相手の可能性を引き出すコミュニケーションスキルのことです。言葉通りに解釈して、〈コーチする〉と一般的な理解をしてもいいと思います。
その概念は、下図のように考えられます。

コーチングは、①聴く、②質問する、③伝える、という可能性を引き出すコミュニケーションスキルのことであり、「求める」「刺激する」「変化する」という自分を活かす自己経営の援助を可能とする。このことによって、行動化、社会化、知性化していく。
図 コーチングの概念

具体的には、①相手(クライエント)の話を「そうですね」「なるほど」などとよく聴き、②その話に即したタイムリーな質問を行う(例「その道具の使い方はどうするのですか?」)、③コーチとしての考えや理解を的確に伝える(例「そのことが大切でね。こんな使い方もあると思いますよ」)ことです。

これらのやり取りによって、相手が自ら自己変革することを可能にします。その営みには、クライエントが自ら変化を求めようとして、自分自身を刺激する学びと行動がみられます。このこと(コーチング)によって、自信と勇気のある行動をするようになり(行動化)、社会のために役立ったり(社会化)、よく成長していることを自ら実感したり(知性化)していくことになります。

私たち人間はかかる問題を自らよりよく引き出し、自己解決する力を有しています。そして、ここに関与するコーチ自身がポジティブな人間観をもち、解決志向的であることが求められます。言うなら、相手を〈温かくほめること〉がコーチングの基本哲学です。