NITSニュース第15号 平成29年9月29日

スクール・マネジメントを考える(Ⅵ) ―学校のあらゆる仕事がマネジメント―

独立行政法人教職員支援機構 理事長 髙岡信也

学校を組織体と考えること、校長をトップリーダーとする人の組織で、「組織の経営目標にしたがって合理的かつ効率的運営がめざされるべきだという理解が大切である」とする考え方は、学校が長い間に身に付けてきた,あるいは自ら作り上げてきた「文化」と「風土」のなかでは、必ずしも簡単に受け入れられた訳ではありません。戦後教育の学校とその組織の歴史がはっきりと示しています。

しかし他方、近年の教育改革のうねりは、学校の組織運営についてそんな悠長なことを言ってはいられない程のスピードと迫力で、改善を迫っていることも事実です。

何を言っているかというと、今や、スクール・マネジメントは、単に人的組織としての学校とその運営という論点を遥かに越えて、それこそ学校の至る所で不可欠の営みになっているということを強調したい、ということを言っているのです。

マネジメントの対象は、今や教育の内容、方法の分野にまで及んでいるということ、つまり、学校に生起するあらゆる活動や仕事に絶えずマネジメントの視点からの分析と評価が恒常的に求められている、ということです。
例えば、新学習指導要領の目玉だと言われている「カリキュラム・マネジメント」しかり、「主体的、協働的で深い学び」(アクティブラーニング)という新たな学びの手法の導入も同様です。教科横断的な学びの指導ともなると、学級王国も教科中心主義もありません。新たな学力を、資質能力の向上と言い、キーコンピテンシーと呼ぶ流れが正しいとすれば、学校は、間違いなくそれらをしっかり理解した構成員の存在とその構成員による組織的な目標設定が不可欠であり、具体的に共同することのできる体制の有無が問われているということです。

カリキュラムの、道徳教育の、キャリア教育の、課外活動の、生徒指導の、安全・健康教育の、地域共同の、等々すべての学校の営みは、構成員全員の参画というマネジメントの構築なしには上手くは運ばないでしょう。

これまで、例えば、道徳教育の研修と言えば、道徳の授業の内容と方法、授業展開のやり方に終始していたのではないか?そこに不足するものは何かを改めて考える必要があるのではないかと考えます。翻って、当機構が実施している様々な研修プログラムの抜本的な改善もこの際必要だと思っています。