NITSニュース第123号 令和2年3月6日
小学校における外国語教育
文部科学省初等中等教育局 視学官 直山木綿子
2020年4月より、新学習指導要領全面実施となるにあたり、小学校中学年に外国語活動、高学年に外国語科が導入されることはすでにご存知のとおりです。 今回は、導入直前に小学校教育関係者の方々に備えていただきたいポイントについて、述べます。
4月から活用する教科書を知る
4月より活用する教科書の年間指導計画を、教科書出版社HP等より入手し、事前にWe Can!との共通点や相違点を把握しておくことが大切です。次のようなことに注意してみてみるとよいと思います。
- 各単元最後の言語活動はどのようなものが提案されているか。特に6年生最後の単元でどのような活動が設定されているかを知っておくことは、小学校卒業時までに身に付けさせたい資質・能力のイメージをもつことにつながります。
- どのような順で題材や言語材料が設定されているか。このことは、指導者の子供の既習語句や表現の把握につながります。そして、授業では、それらを使って常に子供とやり取りをしたり、指導者が自身の本当のことを話したりするようにします。
- どの単元から文字を読んだり書いたりする活動が入ったり、単語を書き写したり、例文を参考に文を書いたりしているか。高学年外国語科には、外国語活動では扱っていなかった「読むこと」「書くこと」を扱います。時間をかけてゆっくり、子供達が負担感を感じないよう、まず、読むこと・書くことに慣れ親しませることが大切です。
また、中には、すでにQRコードから児童に視聴させる映像を見ることができるようにしている教科書もあります。事前に視聴されるとよいでしょう。
現在の授業の見直しを図る
二年間の移行期間中に、小学校の先生方には、教育委員等主催の様々な研修を通して、新小学校学習指導要領における外国語教育の趣旨やその指導の在り方について理解を深めていただいています。
また、各地域では、英語教育推進リーダー(文部科学省事業2014-18年度実施、「英語教育推進リーダー中央研修」)による中核教員研修(英語教育推進リーダーを講師に、各校1名の中核教員参加の研修)を受講いただいた中核教員による校内研修を通しても、具体的な指導の在り方について校内で共有をいただいています。
そこで、それらの研修内容を基に以下のことについて、今一度、現在の授業を振り返り、あと一か月お取り組みをいただきたいと思います。
- 実際に英語を使って自分の考えや気持ちを伝え合う「言語活動」を通して指導をしているか。
- そのためには、コミュニケーションを行う目的や場面、状況を設定し、それを子供と共有しておくことが大切です。例えば、単に6年間の一番の思い出を発表するという言語活動ではなく、何のために6年間の思い出を話すのか、最終的に誰に伝えるのかを明確にすることです。世話になった先生達や保護者に、6年生最後の参観日で6年間の思い出を発表し、感謝の意を伝えるなどが考えられます。
なお、国立政策研究所教育課程研究センター 研究指定校であった、大分県佐伯市立明治小学校(平成29,30年度指定)、京都市立朱雀第二小学校(平成30,31年度指定)が「言語活動」に焦点を当てて研究に取り組みました。 その成果報告書が国立教育政策研究所HPに掲載していますので、参考にしてください。
- 研究成果報告書 小学校国立教育政策研究所ホームページ