NITSニュース第40号 平成30年5月18日
「いじめが起こりにくい学校づくり」に向けて
国立教育政策研究所 総括研究官 藤平敦
こんにちは。国立教育政策研究所の藤平敦です。「いじめの問題に関する指導者養成研修」をはじめとして、「生徒指導指導者養成研修」等でお世話になっております。
本NITSニュースの読者の皆さんは、各地域や学校の(中核的な)リーダーとして、日々、「いじめが起こりにくい学校づくり」に向けて、ご尽力されていることと思います。
どの学校も、いじめの防止に向けて、教職員全員で対応するという体制が整備されていると思います。しかし、そのような体制が実際にいじめを未然に防止するためのものとして、必ずしも機能しているとは限りません。反対に、いじめが起こりにくい学校では、教職員全員で対応するという体制が機能しています。それでは、いじめが起こりやすい学校と起こりにくい学校とでは具体的に何が違うのでしょうか。
このことについては、「生徒指導に関する機能向上のための調査研究」(国立教育政策研究所)の結果を踏まえて、いじめが起こりにくい学校での5+1の共通点を事例とともに、上記研修の場でお話をさせていただきました。
- 【共通点1】情報の質と流れが良好で、課題が共有されている
- 【共通点2】指導方針が現状と課題を踏まえている
- 【共通点3】取組における具体的な行動が示されている
- 【共通点4】一部の教職員のみに負担が偏っていない
- 【共通点5】随時、取組を見直し、軌道修正をしている
- 【共通点α】教職員間での会話が多い
ここでは、さらに、いじめが起こやすい学校と起こりにくい学校における、それぞれのミドルリーダーの、教職員全員の動きをつくるための意識と行動の共通点の違いを一部ご紹介したいと思います。
- いじめが起こりにくい学校のミドルリーダーの意識と行動
- 小さな目標を立てている
- 目標を目に見えるようにしている
- 「伝わる」を意識して行動している
- いじめが起こりやすい学校のミドルリーダーの意識と行動
- 大きな目標を立てている
- 目標を頭の中でイメージしている
- 「伝える」を意識して行動している
現在、「チームとしての学校」や「働き方改革」の推進により、「生徒指導に関する機能向上のための調査研究」結果に再注目されています。興味のある方は、調査結果を踏まえた報告書「生徒指導の役割連携の推進に向けて―生徒指導主事に求められる具体的な行動―」を参照されてみてください。
皆さんの日々の働きかけにより、これまで以上に、誰もが安心できる学校に結びつくことを心より祈念しております。