NITSニュース第113号 令和元年12月6日

言語活動指導者養成研修の目指すもの

文部科学省初等中等教育局 視学官 大滝一登

令和元年11月26日から29日の4日間、秋田県で独立行政法人教職員支援機構と秋田県教育委員会による主催、文部科学省の共催による「言語活動指導者養成研修」が開催されました。 小学校では、いよいよ来年度から新学習指導要領が本格実施となります。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が改訂のキーワードの一つとされる中、新学習指導要領においても、言語活動の充実は引き続き重要なキーワードであり続けていると言ってよいでしょう。

小学校学習指導要領総則には、学習の基盤となる資質・能力として、筆頭に「言語能力」が掲げられていますが、その言語能力の育成を図るため、「各学校において必要な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて,児童の言語活動を充実すること」が謳われています(第1章第3の1の(2))。 言語活動は、各教科等の指導を通して育成を目指す資質・能力を身に付けるために充実を図るべき学習活動であるとともに、言語能力を育成するために必要な学習活動として位置付けられているのです。

新学習指導要領を踏まえると、カリキュラム・マネジメントを踏まえて言語活動の充実を図ることがますます重要になります。 冒頭に示した研修では、全国の小・中・高等学校や教育委員会等から110名を超える受講者が集まり、単に言語活動の充実に対する理解を深めるだけではなく、地域や学校全体における推進リーダーとしての力量と自覚を高めるためのプログラムに参加しました。 授業改善を自らが行う資質・能力に加えて、研修タイトルのとおり、地域や学校における「指導者」として活躍するための資質・能力を獲得するための研修に臨まれたのです。

例えば、2日目には、秋田県内の小学校、中学校、高等学校に移動して、実際の授業を拝見した後、研究協議が行われました。 このプログラムのテーマは、単なる「よい授業とは」ではなく、「よりよい指導助言の在り方とは」というものでした。 受講者の先生方は、授業を参観された後、通常の授業研究会ではなく、「指導者」としての力量を高めるために、自分だったらどのような指導助言を行うか、授業の中の何を取り上げたら先生方が納得なさるだろうかなどと、「指導者」としての視点を意識した研究協議を進められていました。

受講者の先生方はこの4日間を通して、理論と実践との往還の重要性、さらに組織的計画的に取組をマネジメントすることの意義などを学ばれ、それぞれの地域や学校に戻っていかれました。 今後、言語活動の充実が一層図られるためには、個々に取り組むのではなく、こうした推進リーダーを中核とし、地域や学校全体における組織的な取組として、言語活動を効果的に取り入れた授業づくりを進めていくことが大変重要です。