NITSニュース第45号 平成30年6月15日

第1回中堅教員研修「研修成果の活用」を終えて

山口大学 教授 霜川正幸

グループワークから誕生した20の「研修成果の活用・還元プラン」は、いずれも創造的、建設的で発想豊かなものでした。

そして、受講生全員が、2週間(15講座)にわたる質の高い研修に真剣に取り組んできたこと、講座内容を「自分ごと」として学校や地域の現状や課題に落とし込もうとしていること、受講を自分と学校にとっての「Chance」と捉え、よりよい「Change」に向け、自ら「Challenge」しようとしていること、何よりも「子どもたちの学びや成長」を第一に、全国からの仲間たちと共に研修を積み重ねてきたことが伝わってくる3時間でした。

特色ある豊かな教育活動の推進のために、そして、多様化、複雑化、高度化する学校課題の解決のためにも、学校は組織として機能し、常に活性化される必要があります。

変化に強い(臨機の力を有する)、常勝軍団として(危機直面にも強い)、自律・自立的組織でありたいものです。

講義の中では、組織(学校)の活性化には「個人(教員)の質向上」と「環境・集団(教職員集団)の活性化」が必要で、
前者では「スキル」×「マインド」が、
後者では「仕組み」×「取組」が、
求められると表現しました。

そして、「個人(教員)」と「環境・集団(教職員集団)」は、常に相互に影響し合う、関係し合う関係にあり、それぞれが活性化されることが必要ともお伝えしました。

今回の受講は、87人の先生方個人の質向上にとってかけがえのない経験となったでしょう。

同時に、教員一人一人が教職員集団の教育力や勢いを生み出し、教職員集団の文化や組織風土が教員一人一人に影響を与えるものと考えた時、受講生による「研修成果の活用」には確かな意義と使命、大きな可能性があります。

研修成果が活用(還元)をとおして共有され、創造的で実効性高い教育実践を生み出し、結果として、子どもたちの豊かな学びや健やかな成長、学校や地域の教育課題の解決や学校組織の活性化等に貢献することを願います。

「研修成果の活用」の対象や方途は無限に広がります。

もちろん、受講内容(国際・国内動向、高度で専門的な理論、先行研究や先進実践等)の報告や資料提供をとおして教職員集団の質向上に還元することは意義あることです。

同時に、高い専門性や豊かな経験に裏打ちされた課題解決力、連帯感あふれる教職員集団の形成力、具体的で創造的な提案・発信力を有する中堅教員だからこそできる「研修成果の活用」もありましょう。

児童生徒の学びや成長を支える特色ある教育実践・プロジェクトの開発、教職員の資質向上や意識改革に向けた教職員研修の活性化、学校の組織改革や学年・分掌等運営改善への寄与、地域における教育の充実や啓発への貢献等に関する実践は、研修での学び、成果を生かし新たな組織的動きを創出するものでもあります。

成果活用の対象(児童生徒、教職員、学校、地域等)と目的を明確にしながら、斬新かつ創造的な実践開発を目指していきたいものです。

最後に、今後展開される実践は、各地で進む「学校・教育改革」に貢献できる貴重な経験・財産にもなるはずです。ぜひ、そのノウハウや成果を全国に向け発信(NITS大賞へのエントリー)していきましょう。